2015年07月04日

有限は無限に一致して現れている

「法華経」と「阿弥陀経」の観点の把握から、最近以下の空間概念が自分内にもたらされている。自分内ではこれが基本になっているが、証明されることはないものであるから、ジャンルとして「断片小説」に分類されている。「法華経」が規定した時空論理は、近代科学の現在の成果において出現した大問題を先読みしている。

無限である上位の総体において、実はこの限定された物理空間(宇宙)は域的に一致していながら、有限の相で我々の前に現われている。実際我々は宇宙の総体は無限だと定義しているし、それ以外の理解が出来ない。具体的に捉らえ得る要素は、ことごとく有限であるにもかかわらずである。

そのような性質の物理空間内にて定点から様々な遠点を観測する時、全ての対象は遠ざかっているように見える。限定された下位相(有限)である対象までの距離は、実相において一致する無限域に沿うので、下位相の全体を観測(下位相の限定的な条件での把握)により捉えようとする時に、それは膨張しているように見える(条件付けられる)のである。


posted by コマプ墨田 at 05:41| 断片小説

2014年07月12日

無限大円周への疑問

完全な直線を想定し、同時にそれが正確な円弧の一部だと想定する。その時に想定される円も円周も円の中心までの距離も無限大となる。その時同時に、無限大の円の円周である無限長の直線によって分割される二つの領域がある。想定されるこの無限大の円の内部はこの二つの領域のどちらであるのか。円周が完全な直線である以上、それによって分割される領域の双方に区別は発生しておらず相似である。そうであればこの時に、円とその中心は二つ存在していると考えるべきなのか。そしてこの円周が無限大から有限の長さに転化した時の円周の外部は、円周が無限大であった時に存在していた一方の無限大の円が転化したものなのか。

ではこの見地で三次元を想定するとしよう。すなわち完全な平面を同時に正確な球体表面の一部と想定する。上述と同様、空間はこの平面によって相似の二領域に規定される。この時球体とその中心は二つ存在していると考えるべきなのか。仮に無限大の球体は二つ存在するとしたならば、この時に私がこの平面に真っ直ぐ向かって立つ時、私が属す側の球体(空間)と外部の球体(空間)の区別は私にとって如何なるものとなるのか。もし私が属す側の球体(空間)の中心に立つならば、二つの球体(空間)を規定する平面は無限遠に在ることになり、それは私が完全に正確に直視した方向にある。このことから考えれば、無限遠にある平面を完全に直視する時の私は、私が属す側のこの一方の球体(空間)の中心に位置するのではないか。そしてこの平面が完全である以上、私はこの平面に対する如何なる場所においてもそれを完全に直視することが可能である。そうであれば私が立つ位置はたとえそれがどこであっても球体(空間)の中心であることになる。

私が属す球体(空間)側内部から、私が完全に直視するその無限遠距離の平面によって分割されているもう一方の球体(空間)の中心は、この平面までの無限遠距離のさらに倍の距離に存在すると言うことは可能なのか。無限が倍になることは矛盾しているので不可能であるならば、そもそも分割されている二つの球体(空間)はなぜ規定されえるのか。

私が属す球体(空間)側内部から、私が無限遠距離先の平面を完全に直視する時、その視線は無限遠距離先にて無限拡張するところの平面上に一点を規定している。

posted by コマプ墨田 at 09:30| 断片小説

2012年05月06日

断片小説JABROID 長屋話「呪文」その3(日常編)

「ところで大家さん。寅にはあの世でざまぁみろと言ってやりやすがね。もうちょっとてめぇが生きてる間に効き目があるやつで、塩梅のいい呪文はねぇもんですかね?」

「そうさのぉ。あるにはあるな。」

「おっと、それ教えてくだせぇまし。」

「魔黏を開く術というのがあり、これは自分が念じればそれで成就する。」

「へ? 念じるだけでいいんで?」

「そうじゃ。もし魔黏を開こうと願う者あらば、臍あるいは腹でそのように念じる。」

「それだけでかないますか?」

「かなう。一心に念じた後にまた魔黏を見れば自ずから開いておる。」

「へっ。そんなもんなら誰でもできやすねぇ。そいつはいいや。」

「あまり安易に考えてもいけませんがな。」

「ところで大家さん。つかぬことをお伺かがいしやすがね。その魔黏てぇ奴はどんなもんで御座いやしょう?」

「これ八っつぁん。あんたは魔黏も知らずに喜んでおったのか。魔黏とは古酒のことじゃ。」

「えっ、こし? ああ要は魔黏てのはあれのことですかぃ。いやそいつはまことに塩梅いい話ですねぇ。確かにあっし、女房も若い時はそれ。臍で念じましてね。言わずもがな女房もあいよってなもんで、顔赤らめやがって、まぁお互い何言うでもなく、女房も腰巻・・・・」

「これこれ八っつぁん。あなたは何と勘違いしておる。古酒とはすなわちこれは酒じゃ。古く蓄えた酒を古酒といい、そのような酒には霊力がある。」

「へっ? 酒?? 酒が開きますか? どう開きますか?」

「蓋が開くのじゃ。」

「臍で念じると酒の蓋がぽんと?」

「そうじゃ。」

「それだけ?」

「それだけじゃ。」

「大家さん。もうちょっと色気のあるまじないはないもんでしょうかね?」

「あるにはあるな。信愛術といっての。これは男女の成就に関わる術じゃな。」

「おっと、大家さん。それっ、それ教えてくださいまし。」

「そうさのぉ。もし信愛術を成さんとあらば。」

「あらば?」

「信愛術を成さんとあらば、これこれ段取りを成しこれこれの呪文を唱えよ。(段取り呪文略)」

「へぃ! 呪文一回。」

「阿庾多じゃ。」

「またあの世の話ですかぃ。」

「男女のことはもともとが思うになり難いもんですからな。しかたありますまい。」

「大家さんね、そのもうちょっとこの世でなんとかなるやつで、他になんか御座いやせんですか。」

「あるにはある。」

「大家さん。廻りまわって結局最期に阿庾多ってのだけはやめてくんないましよ。」

「日月を抑える術。これこれの段取りでこれこれの呪文七百万回じゃ。(段取り呪文略)」

「百万で半年って言ってやしたから、かれこれ三年と半年はかかりやすねぇ。」

「日月を抑えるとなればそのぐらいは辛抱しなければなりません。」

「まぁ確かにこの世で収まりはしますけどねぇ。ところで大家さんその日月を抑えてどういう得がおこりますかね。」

「昼夜の区別がなくなるのじゃ。」

「大家さん。家にこもって三年と半年も呪文だけ唱えてるってぇとそんなもんどっちでもよかないすかね?」

「八っつぁん。あんたは信心が足りないのでそのように思う。三年六ヶ月も堂にこもってひたすら呪文を唱え続けるお方ともなると、これはおのずと思うところは異なる。」

「そんなもんですかね。あっしは普通にお天とさんとお付き合いしやすから関係ありやせん。」

「まぁ確かにあんたはそれで十分じゃ。」

「大家さんね。もうちょっと適当な数の呪文はねぇんですかね? せめて半日で済むやつ。」

「あるにはあるな。金剛喩沙多の術というのがある。」

「大家さん。喩沙多ってまさか阿庾多の並びじゃねぇでしょうね!」

「喩沙多とは即ち一種の方位術を言うのじゃ。要は東西南北星の動きなどその筋のことじゃがな。即ち巫女をして段取りこれこれの後呪文百八回、巫女は三世のことがら皆答える。」

「百八回てのは、その巫女よほどのいい女でこっちの煩悩惑わすんで、しかと覚悟してやれってな事前の脅しでやすかね?」

「そうではない。」

「へぇ。」

「おんなぐらなぐら、と呪文もまことに覚えやすい。」

「へぇ確かにそうでやすが、その三世ってのは?」

「三世とは、即ち現世と前世来世のことじゃな。」

「まぁあっしは特に前世も来世も気にしやせんけどね。」

「あんたは現世も気にしておらぬではないか。」

「こりゃどうも大家さんおほめにあずかりやして。」

「まぁ百八回ほどの呪文では寺のみくじと大差ないのは仕方あるまい。」

「呪文付きのでさすがにそれより簡単なのはそうそうねぇでしょう。」

「あるにはあるな。三種ある。」

「へっ、ありやすか。」

「ある。」

「!」

「べりゃ べりゃ と唱える。」

「へ?」

「あるいは、まーま まーま と唱える。」

「は?」

「あるいは、てりゃ てりゃ と唱える。」

「?、でそいつらを唱えるとどういうご利益が?」

「べりゃ べりゃ と唱えれば、即ち象が走る!」

「へっ」

「まーま まーま と唱えれば、即ち虎が走る!」

「へっ」

「てりゃ てりゃ と唱えれば、即ち蛇が走る!」

「へへーっ」

「現世に在りし時の仏も、この法を用いて象を走らせたと伝わる。」

「仏さまも象やりやしたか!」

「そうじゃ!」

「ん〜ん!じゃあっしはこれから行って、まーま まーま で寅の野郎大川に突き落としてきやすから。」

お後がよろしいようで。


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その1 (雨乞い編)
その2  (呪い編)
その3  (日常編)

posted by コマプ墨田 at 15:01| 断片小説

2012年05月05日

断片小説JABROID 長屋話「呪文」その2 (呪い編)

「八っつぁん、寅とやらを呪い殺すまで行く前に、近いところで大将が戦で敵軍を散らす呪文をまず教えましょう。これこれの段取りで壇をこさえてこれこれの呪文を唱える。その後に祈願しながら壇を廻る。(段取り呪文略)」

「へぇ、それ一発で敵軍が蜘蛛の子を散らすように? すごいもんですねぇ。」

「百万回じゃ。」

「百万ですか。朝から始めて飯時には終わりますかね?」

「毎日朝から夕までやって半年ほどはいるじゃろうの。」

「半年ですかぃ! そんなもんを相手側の大将が半年もやってるとなるとその間に敵軍もやる気なくすんじゃねぇんですかね?」

「敵軍がそうなる前に自分の軍がそうなるかもしれんので気をつけねばならぬな。呪文の後も絶え間なく壇を廻り続けなければ効き目はない。さて次に八っつぁん、ていらこん術じゃ。」

「なんですかその、ていら大根とかいうのは?」

「わしも詳しくは知らんのじゃが、なにやら聖賢が身につく術と伝わる。これも呪文は百万回じゃ。」

「半年やって立派になれるんならやるやつもいましょうね。」

「ただこれを成就するにはもうひとつ難があるな。」

「難といいますと?」

「所作段取りは必ず日蝕の日にやらねばならぬ。」

「日蝕といいますと、それは毎日飯を食うということですかぃ?」

「昼日中にお天とさんが急に暗くなる不吉の日のことじゃ。」

「そんなもんは滅多に御座いませんでしょ。あっしはこの方見たことありやせんぜ?」

「わしも無いな。さて八っつぁん、いよいよその寅とやらを呪う術を教えましょう。」

「へっまってやした。」

「これこれ段取りを成して後にこれこれの呪文を唱える。(段取り呪文略)」

「また百万回ですか?」

「いや一阿庾多じゃ。」

「阿庾多ってなんですかぃ。どっか宿場の名前ですか。」

「数の名前じゃ」

「百万の倍ぐらですかね?」

「百万がもう百万倍あっても足りぬじゃろうな。」

「へっ。そうしやしたら半年がもう百万倍でも足りねぇんじゃ?」

「足りぬな。」

「じゃ死んでからもあの世でやるしかありやせんね?」

「まぁそういうことだ。」

「でも大家さん。その頃にはおいおい寅の野郎もおっ死んじゃってやがるだろうから、これは痛み分けってこってすかね?」

「ほぉ八っつぁん。あんたにしてはさえたことを言いましたなぁ。」


(その3へ続く)
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その1 (雨乞い編)
その2  (呪い編)
その3  (日常編)
posted by コマプ墨田 at 15:54| 断片小説

断片小説JABROID 長屋話「呪文」その1(雨乞い編)

「これ八っつぁん。あんた何を浮かない顔しておるのじゃ?」

「あ、これは大家さんどうも。実は向う横丁の寅の野郎に昨日ボコにされましてね。あんまり理不尽なんで今からどつき返しに行こうかどうかと。」

「やめときなさい。あんたの腕っ節じゃ所詮またやり返されるだけじゃ。」

「へぇ。実はあっしもそういう気がしてきたとこで。大家さん、何かいい知恵でも御座いませんか?」

「そうよのぉ、ない事もないな。八っつぁん、あんた呪術というのは知ってますか。」

「いえあっしはどうも腹とか切るのはごめんで。」

「それは手術じゃ。」

「呪術というのは、要は呪文で怨む相手を遠くから痛めつけるまじないのことじゃ。」

「へっ、そんなけっこうなもんがありやすか。」

(中略)

「寅の野郎、呪い殺すやつ、そのまじないお願いしやす。」

「まちなさい。ものには順序と言うものがある。最初はまず雨乞いの呪文を知らねばなるまい。」

「寅の野郎呪い殺すのに雨乞いは関係なくねぇですか。」

「あるのじゃ。軽いところから段々と物事を知っていかねば深いところを知る手立てはない。まぁ聴きなさい。庭の隅にでも池を作って龍神の像を納めなさい。それからこれこれ所作(略)をなしたならば、いよいよ声を大きくこの呪文を唱える。(呪文略)」

「へぇ、それで雨が降りますか?」

「降る時もある。」

「降らねぇ時も?」

「その場合はもう一つやり方があるのじゃ。」

「へ?」

「即座に呪文を逆に唱える。」

「へっ、それで今度は降りますかっ。」

「降る時もある。」

「降らねぇ時は?」

「竜神の頭を七つに割って蘭の花の枝のようにしなさい。」

「へっ!竜神様の頭かち割るんですかっ?
さすがにそれやったら今度は降りますんでしょうね?」

「さて八っつぁん、次は雨を止める呪文も言っときましょう。雨を止める時の呪文はこうじゃ。(呪文略)」


(その2へ続く)
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その1 (雨乞い編)
その2  (呪い編)
その3  (日常編)
posted by コマプ墨田 at 14:58| 断片小説

2012年04月09日

断片小説JABROID 「死者遺骸断片奉納法儀軌」

深夜の前に身を清めた後、堂の下層の狭い入口をくぐるべし。内の複雑な区画の組み立てのさらなる奥へ入り行き、数種の中核となる方形区画のうち、「無数の死者遺骸断片が通過する灼熱の河」と呼ばれる方形区画に至るべし。四辺のうち「岸辺」と呼ばれる一辺に立つべし。そこから覆い隠された方形区画中央に向け礼拝し、次に結界を越えて結界を背に立つべし。その時に方形区画中央に視線を向けると、死者の細かく切断された遺骸断片が次々にあふれ、外部に向けて流れ出る光景を見るであろう。その全てを丁寧に集め一つ一つに礼拝し、儀軌に従い適切な構成を成して厨子に納め隙間なく死者の遺骸で満たすべし。その後に薄膜をかけ封印すべし。必要となる幾つもの厨子を用いて夜明けまで同じ所作を繰り返すべし。それらの厨子を積み重ね明け方に冷所に収めるべし。こうして適切な所作が成された場合に、その集められた全ての遺骸断片は、現世を実と成す為の五欲喜びの一種に見合うものとなるであろう。

死者の遺骸断片を厨子に納める為に、通常で五の連続を用いるべきである。
或いは六と七の組み合わせの連続を用いるべきである。
或いは自由な数字の組み合わせの連続を用いるべきである。
いずれにあっても全ての厨子の構成は一定となるべきである。

堂下層部の窓の無い昼夜問わずに暗いその場所は、結界の内外に関わらず、全てがマハーカーラの統治する場所である。突き刺し切り裂く為の「ヴァジュラの鋏」、肉を断ずるための「刃の湾曲した短刀」が渡されるので、それらを用いる時はマハーカーラを思念し礼拝し、適切な儀軌を守り行うべし。遺骸である死者と全ての生ける者とは完全に平等であるので、結界の近傍に立ち所作を行う時に強くそのことを思念すべし。

posted by コマプ墨田 at 01:04| 断片小説

2011年11月21日

断片小説JABROID 「拍動虚空拡張奉納法儀軌断片」

有用とされ礼拝され奉納されたものを廃棄所に捨てに行き、代わりに廃棄された布を得て、適度なる容量の袋を成すべし。液状の類を注いでも漏れ出さぬように油脂樹脂等にて内を塗り固め、天日に七日の間乾かすべし。こうした所作を終えた後、袋を携え再び廃棄所に行き、不要とされ捨てられた塵の類の、三種または五種または自由な個数を得て、袋の内に収め持ち帰るべし。方形区画の内に入り、中央に袋を安置し、これを礼拝した後に、口より赤青黄緑白の五種、または自由な種の色液を注ぎ、適度な量の空気を残しながら堅く口を閉じて、油脂樹脂等で塗り固めるべし。袋が完全に密閉されるように天日で七日の間乾かすべし。所作が完了した後に袋を手に抱え瞑想を成すべし。瞑想が深みに至るならば、自らが抱えるものは虚空の心臓の独立したものであると思念されるであろう。これの自発的な鼓動に一致する拍を見出し、両手の動きをそれに重ねるべく勤めるべし。十分にそれが心臓の鼓動と知れ一致するまで所作を継続すべし。この所作が完全に安定した状態を成したならば、虚空の心臓と思念したものの内に先に投じた色彩が、虚空総体に流動し延々と拡張する像を得るに至るであろう。その後に、やがて流動する色彩が殺し合い、虚空が重く灰色に傾き沈殿していく像を得るであろう。一連の所作の終わる筋を見つけ、両腕の動きを拍が停止する時に一致させるよう勤めるべし。所作を終えた後、瞑想から出でて、袋を方形区画の中央に置き切り開くべし。そして袋を一枚の布に戻すべし。布と取り出した内の諸品の個々に対して礼拝し、それらを七日の間天日にて乾かすべし。所作の結果、これらは堂において有用なものとなったので、堂の壁面にて適善な配置を成し納め深く礼拝すべきである。
posted by コマプ墨田 at 04:31| 断片小説

2011年11月13日

断片小説JABROID 「自然厨子奉納法儀軌断片」

所持する世に得とされるもの全てを廃棄所に捨てて、代わりにその場から塵と屑を集め持ち帰るべし。それらを丁寧に水洗いし磨き、厨子に納めるべし。厨子の中に赤青黄緑白の五色、または自由な数の色を注ぎ密閉すべし。それを背中に背負い山河百里を行くべし。夜毎必ず厨子を背負いながら舞い踊るべし。眠る時は風に晒し揺らぐように段取りを成すべし。厨子が壊れることを自ら成してはならないが他力を介して壊れることは望ましい。壊れた厨子はまた新たな厨子に納め同じ所作を繰り返えし行くべし。百万里を行った後、自ずから適度と思える日数を経て厨子を開帳すべし。厨子を壊し板に戻すべし。それらの板と中の諸品を七日のあいだ天日に乾かすべし。板の表と裏を逆として再び厨子を組み立て直すべし。諸品個々に深く礼拝を成してから、再び厨子の内に諸品を適善に配し納めるべし。
posted by コマプ墨田 at 03:23| 断片小説

2011年10月11日

断片狂歌小説 「黒い固体」

1.
眠りのために窓をさえぎる。黒い重いものが外に沈んでいる。昨日は見た眼に軽やかだった衣服が黒く堅い欠片に変わって、なるべくすばやく私をえぐりたいと意思を持ち始めている。地獄のような歌が百層にも波打って聴こえてる。みんな楽しいと言って窓の前まで来ている。目覚めたら深いところで泳ぐ魚が全て死んでしまった浅瀬にいた。波打ち際に腐敗する前の銀の背中が揺らいでいる。

2.
果実にはとても見えないけど奇妙な花が咲いていた。近づくとよく磨かれてプラスチックと同じに見えた。誰かの庭で食事をして、気に入ったことを話したりした。風のように過ぎ去った事など忘れてしまえばいいのに、全てを書き取って私に教えに来る。嫌な言葉だけを覚えたオウムたちが黒い花を咥えて飛んでいる。私は真ん中まで登った灰色の電波塔を降りる。地表で子供たちがまるで大人のように裸で戯れている。


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3.
大人になる時に朝日が家にあたり私はそこを去る。振り返るとそれは黒くて重く閉じた丸い鉄球に見えた。誰も子供の私を悪いと言わなかった。でも本当は悪い娘だと思っていたと、大人になる時そんな手紙を渡されたの。地下鉄道の迷路をくぐって退屈な丘を降りて河を登る船に乗ろうと思う。こうして私はあの家を思い出しながら、たったひとりで歌っている。すると重い鎖のような言葉の錠が砂のように砕けて掌にざらざら落ちた。


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posted by コマプ墨田 at 02:13| 断片小説

2011年08月20日

断片小説JABROID 「虚空振動法儀軌」断片

4本または6本または自由な本数の弦を自らの身の前に正確に平行に張るべし。次にそれらの平行線が、究極において円周に一致する湾曲であることを思念すべし。これを思念した結果に伴って、必然的に、虚空中核を示す一点が現わされるので、次にこれを強く思念すべし。この時同時に、目前の弦はこの円周と中核の仕組みに規定されるものと知れるであろう。次に、自らが在る円周上の場所から思念される虚空の中核までが、真っ直ぐに連続する経路を思念すべし。

黒、または赤と青と黄と緑の四色、またはこれに紫と橙と黄緑と青緑を加えた八色、または自由な色数の尖筆等を用いて円周上で弦を振動させるべし。

振動を虚空に拡張させるために、拍の根を基礎数である二と三の複合形で成し、これにより可能な単位的形状を巧みに結びつけ、複合連続的な流脈に変容させるべし。またはそれ以外の自由な形式をとり行うべし。このような方法により、拍の点を集め結びつけながら様々な形状と速度を順次導き、一体化させ連続させ、それを一定の間維持すべし。このような方法で、拍の点を結ぶ起こりから速度を導き出した状態が安定したならば、これを加速することで、その状態から様々に自由な減速や停止や解体的変容のあり方を成すことができる。これらの連続的な拍の拡張と加速の関係を巧みに用いて、虚空に音響による像を導くべし。

このようにして、虚空に拡張的となった振動の根である弦の上で、様々に異なりよく殺された不規則で断続した無数の線を得るべし。それらを、矩形または自由な形の断片に捕らえ収めるべし。収められた線の集積は、経過においても結果においても、それを導く総体の断片であることにおいて誤りということが無い。形成されるその場所に動きと重量と速度が降ろされる時に、出現するそれらの姿は、眼に現われるものであることにおいて、全て空しからざるものであり真あるものの断片的具体と覚えるべし。

点としての拍を集め速度を起こし、加速し、様々な減速や一時的な停止や解体的変容を成しながら展開するところの、こうした音響的像空間総体の内に在る者の意識は、ある経過の段階として十分な加速に至るならば、その位置からさらなる高次の展開を得て、現なる虚空の充足状態に対比する最終的な終止へ至る経路に導かれるであろう。その者は、その時に現れた速度に対して完全に従属すべきである。その者は、その時形成されている速度に内的であり続け、意識を外的に推移させてはならぬ道理を知るべし。これが正しく成された時、自ずからいくつかの解体的変容が順次現われ、最終的な終止へと安楽に導かれるであろう。
posted by コマプ墨田 at 11:45| 断片小説

2011年07月17日

断片小説JABROID 「バラライカとひまわり」

ホームセンターにチャリで延長ホースを買いに行く途中で眼にゴミが入り停車する。そういや直ぐ近くに公園があったはずだと思い片目で場所を探し、しばらくうろちょろしてたどり着く。水飲み場の蛇口で眼を洗うもののなかなか流しだせず苦労する。日が暮れかかって気味の悪いデカくオレンジがかった月が昇っているのに気づく。多少違和感を残しつつ誰もいない公園を出発することにする。カレーのにおいがする路地の夕方時である。

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回転する翼のようなもの。聴いたことがある真夏のサンバ。テーブルの上のわざとらしい虹。交差点まで来て黄色になり渡れず戻って歩道橋をチャリを担いで渡る。勝手にアーケードを歩道まで延長してる肉屋でコロッケを3個買う。ついでに文房具屋で自動書記用の特別のボールペンを20本買い置きしておくことにする。特殊虫眼鏡も欲しかったが晩飯代より高価なのでやめる。この商店街も昔はやたら無意味な包装をやるので一番簡単な袋に入れてくれと頼んだものだったが、最近は向こうから「テープでいいですか?」と言うので面倒が減った。しかし20本全部貼るつもりなのかと心配したら1本だけだった。コロッケの袋に一緒にぶち込んで商店街を抜けて坂を降り、コンビニで週刊誌を立ち読みしてアイスを買ってちびちび食いながらしばらく行くと、そう言えば自分は延長ホースを買いに来てたのだと思い出しあわてて道を戻ると、回転する翼のようなものが粉々に壊れて落下している横で、真夏のサンバで盆踊りが始まろうとしており、虹の絵が描かれた折り畳みのテーブルが砂場に斜めに埋まっている節電でちょうちんはつかないというアナウンスで大ブーイングが沸き起こる

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10mが1500円なら安いと思いレジに持ってくと2000円だと言うので、聞くとこれは15mだと言うことで10mに取り替えてもらう話になったが、そのためにレジが停止し後で待っていた客らががっくりしている。そのあげく結局10mは売り切れており無意味に神経と時間を使って帰る。

ホースリールのあと数メートルが不足したがゆえに、ひまわりに水をやり損ねて枯れかけている。今夜中に裏山を登り散水しなければならないのでしまい込んである旧式のものを引っ張り出してそれを繋ぐ。数箇所水漏れがあるのでかなり水道代が無駄になるがしかたない。急斜面をなんとか登ってひまわり畑に到着する。さっき公園で見た気持ち悪い月が真上に来ている。

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公民館の集会でバラライカが演奏されている。それと無関係にラジオからボサノバが流れているが融合して音響が絶妙になっている。
posted by コマプ墨田 at 02:58| 断片小説

2011年07月15日

断片小説JABROID「夏の斜面」

近所のゴミを集めて裏庭に絶妙の傾斜を造っていると熱にやられて昼寝をする。斜面にへばりつくと案外と風が通っており多少心地よくなる。ひまわりにやるつもりのジョーロの水をガブ飲みする。やる気が起きない時に何かやろうとすることは自分に忠実とは言えないのではないかという思いが20年続きそれだけで青春時代が終わる。作業小屋の軒下に並べた小銭を集めてコンビニでアイスを買ってくる。

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何も起こらず無意味に同じことが延々と続くことこそが国家の目的であるから、実はいろいろ起こっていてもないものとする方法によって100年間無事に運営され、芸術もそれに準じている。暴利の割りに実りの少ない電波機構の受信料が問題になり国会をやっているのが聴こえる。芸術家がなるべくあり得ないことを起こす目的で、時には自ら素っ裸で何かやったりするわけだが、結局キュレーターと学者が何があっても全てを合理的に執筆していくのでいつまでたっても破綻なく事が進んでいくのである。一般人の生活は破綻がリアルに現れるのに芸術にそれがないのはこのような理由によるのである。

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何でも描いたものは全てその場で芸術になるので完成すると途端につまらなくなる。地上波がなくなるのでもうアンテナの意味が無いので避雷針ということにする。さっきファミレスで検索する気でいたら更新だけで電源が尽きただ飯だけ食って帰ってきた。やむなく家に戻ってから作業を始めると、最初マレーシアにしたのに気が変わってニューギニアと書き換えたつもりがマレーシアが一個残っていたのに気づき書き換える。空気が抜けている人力車を引く男をイメージしデッサンせよという課題に取り組む。B3サイズ枠からはみ出ないこと高さ45センチ以内で自由に何かを作りなさいと指示されても、とても自由な気分にはならないぞと思いつつなるべくテキトーに造ってやりすごす。一筆描きで人物画をあっという間に100枚描く。画板を激しく振動させているので筆を動かさないでもどんどん絵が出来る方法。10年前の絵が何枚も出てきたので細かく切ってバラバラに張り合わせて新作とする。巨大な鍋の中に布と絵の具と水を入れて煮詰めてとりだしアイロンで伸ばして展覧会に出品して好評価を得る。24時間以内に素早く芸術的に創造する訓練が来る日も来る日も続くので長時間かけるほど芸術的にならない体質が形成され若者の精神を蝕んでいる。斜面の上の方に風景画を描いていた中学生の一団がある。鉛筆を転がして寸法を出して最後に絵の具をがんがん塗れば実はそれなりに絵はできることを教えてやろうと起き上がり弁論を始めたものの、どれもみごとな色彩なので感心し考えを改める。
posted by コマプ墨田 at 03:17| 断片小説

2011年07月14日

断片小説JABROID「丘陵地帯」

午後になって斜面に水を撒く。少し上の階段の始まるところ。栗の木が三本あり廃品回収の終着点を示す印が何十年も前から括り付けてある。釘を打ったところに蟻がたまっている。小学生らが昨日ビー玉を埋めた場所が今この俺にばれている。


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手紙を書いたが棄てることにして川に向かったが気が変わって公園の名前を調べにチャリをすっとばして行くと閉鎖されている。締め出された老人がいたので聞くと、昨日の豪雨で古い花壇が流されその下に遺跡が発見されたのだという。

「ほう、いわゆる土偶というやつですな。」
「あ、勝手に入ってきちゃダメ。一般の人は立ち入り禁止ですから。」
「まぁそう言わずに、ちょいとしっけい。
 私も学部は考古学専攻ですから。どれどれ。」
「あ、ちょっと、あなたね・・・」
「ほう、これはすばらしい、見事な放射状複数出産型女神土偶ですなぁ。」
「単一型ならばさほど珍しくもないのじゃがな。
 こうも見事に八方に出産状態が表現されてるとはのぉ。」
「確か放射状はニューギニアで数個見つかってるだけだったかと。」
「博士、この方は?」
「いや、わしは知らんよ?」
「先生この方勝手に・・・。」
「まぁよいではないか。多少詳しいようだ。」
「八方向に出産状態を表すなんて古代の人はすごい発想しますね。
 ん〜これって英語で論文書く時、
 女神は一体だけど子宮については複数形だな。」
「ふとどきなことを・・。」
「かなり正確に八角形が作図されている。
 宗教儀式との関係があるかもしれんな。」
「これ首のところがふたになっていて、要するにツボですな、これ。」
「まぁたいがい土偶というのは中が空洞じゃ。」
「でもこれツボと女神と出産をむりむり一個ものにしてますぜ。
 先生、これちょっと水入れて見ましょうや。」
「あんたね。貴重な発掘品を・・・。」
「まぁよいだろう。どうせ持ち帰ったら直ぐ洗うからな。」

一輪車が砂場に逆さに突き刺さっている。滑り台の途中に毛沢東の印刷物が丁寧に貼られている。カラマーゾフの兄弟を朗読する女学生がいる。躍動するライオンと隕石がくっついているモニュメントの向こうで夕日がちらついている。


「綺麗に八方向均等に赤子の鼻と口から水がでますねぇ。これは面白い。」
「ここは元は貝塚だ。
 どういう思うところがあって貝と一緒に埋めたんだろうかのぉ。」
「貝もまた器ですからねぇ。まぁ同種ということでしょうか。」
「このように生まれる時をあらわす器と、埋葬の時の器とがある。
 どちらも器じゃ。」
「器であの世とこの世が繋がってるってことじゃないんですかね。」
「豊満な女神の体も水で満たされておるな。水を蓄えるものが器じゃ。」

猫に顔を舐められて昼寝から目覚める。
栗の木の枝の向こうで夕日がちらついている。起き上がり斜面を登って丘の上に出ると畑の真ん中に丸い石があり緑に錆付いた賽銭が置かれてある。明日はここで演奏することに決めて家に帰る。


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posted by コマプ墨田 at 02:29| 断片小説

2011年07月12日

断片小説JABROID「真夏の会館」

ムラムラと沸き起こる出鱈目な記号を記述してパラパラ漫画にする。校門の間に鉄柱を立てる儀式を思いつくが、通りにくいのでやめるようにと校長室に呼び出しを食らう。何度ネジを巻いてもすぐにとまる現象に悩まされてきたが壊れてることに気付き買い換える。貝塚の頂点を見つけ密かに新しい貝殻を埋めてくる。買ったのに全く使わないまま部屋を占拠してるアナログ鍵盤音響装置を天井につるす計画。納豆ばかり食ってると栄養が偏ると気付き牛丼を食いに行くか回転寿司を食いに行くか迷っている内に真夜中になり枝豆を食って寝る。夜中の方が蒸し暑いと気象庁に文句を言ったら湿地帯に指定される夢を見る。仕舞い込まれていた計算用紙にあきらかに誤魔化された数年分の原稿料の清算を記して送りつけたが数ヶ月間無視されている。子供の頃近所の砂山に埋めて隠した楽器だが、恐らく内部に砂利が詰まり固まっていて機能しないだろうが外見の意匠で貴重品とされいくらかで売れるかもしれないと思い掘り起こしに行くつもりで家を出る。だが途中に国際ベルエポック文化会館というのがあったために立ち寄ることにする。

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古代宗教学概説の講座に潜り込み教授に質問をする。本来の印度でのテキストのことを確認したら「宗教に本来ということはない」とののしられ、空海がチベット行った時のことを切々と語られてしまう。「そんな事実は無いのでは?」と言うと即座に退場を命じられる。ぶつくさ独り言で文句言いながら階段を降りると、二階にデッサン実技会場があり遠近法の極意を学ぶために奥に行くほど徐々にモチーフが小さくなるようセットされた長い台があり首を固定した数名の学生が熱心に一方向からそれを描いている。

「そんなにがっちり固定しちゃって首痛くならないか?」
「5年ほどやってるからもうなれました。」
「長くやってると逆側から描いてみたくならないかね?」
「逆側どころか横から見ることも校則で禁止されてますから。
 この線から向こうに行ったら退学です。」

線の向こう側の床にホコリが積もっている。モチーフも助手が前方からマジックハンドで交換するという。一番奥の小さな人物像を箱に入れ損ねてたまに裏側に落っことしてしまうことがあり、その場合だけ学長の許可で主任が裏に回れるという。台の裏側には小さな区画があり特別の図形が掲示されてあるらしいがその具体を公にすることもまた禁止されているという。巨大な五枚羽の扇風機がガラガラ音をたてて生ぬるい夏の風を流している。

これ以上邪魔したら気の毒だと思い地下に向かう。途中一階の小部屋に立体主義研究室というのもあり、ちらと覗くとへし折れた机にガラクタを並べてデッサンしている。どうも学生が気難しそうなので寄らずに行くことにする。「講座 ジャズ&デッサン」「講座 抽象表現リアリズム入門」「講座 電気ドリルの絵画技法の基礎」「講座 現代アート経済学入門」「講座 印象主義回帰の勧め」「講座 漫画芸術特講」全て休講との掲示がある。

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出掛けに亀のようなデザインの怪獣なので風呂場に飾るように妻から言われたが結局途中で棄ててきた。豆腐二個パックがくっついてるのだが一個で半額で売ってくれとレジに明日交渉するつもりでいる。起きると蒸し暑くつけっぱなしのラジオが午前中から33度だと言っていた。とりあえず水を飲んでバンダンダンダランバラと歌いながら路地を来たのである。そういえば高校時代に緑地帯に隠した無線機を掘り起こすつもりで出てきたのだと気付く。我に帰ると「陽炎階段」という扉がありそこを降りていく。右が紫で左が黄緑色の壁が徐々に螺旋になる。階段一段ごとが二十四原色で塗り分けられており足元を見て降りていくと踏み外しそうになる。グラハンベルラ狂詩曲20665番第398楽章がかかってる。降りきったと思ったらよく見ると暗がりに「ここから先は滑り台で」とある。出だしは緩やかな落下だったので油断していたら、実はやがて絶妙の高速落下を体験するような設計だったので地下数階分を一気に移動する。建造物の最下層に到着した瞬間着水する。巨大な地下プールでは特撮班が「海底探検100万マイル」の水中撮影をやっている。

「だめだろ、勝手に変な波おこしちゃって、あんた誰?」
「滑り台で降りて行くように書いてあったもんで。」
「あそこまでの階段は閉鎖中のはずだぜ? 
 この撮影が終わるまでは地下プールは一般は使用できないの。」
「申し訳ありません。」
「まぁいいや、まだフィルム回してなかったし。
 じゃぁあんた向こう岸に行ってギルガメッシュ2世号の難破するとこ手伝って。」

手なれた操演班の動きについて行けず自分だけ一瞬引きが遅れ船体が逆に空中に飛び出し再び水中に没する。むかし北国の骨董屋で古い真空管ラジオを見かけて高額で購入し深夜特急の寝台で抱えて帰宅したら中身が空だったことを思い出す。坂の途中に勝手に生えた植物があるのでそこを花壇にすることに決めてレンガで枠組みをしたことなど。気付くと200m四方のプールの向こうから助監督が走ってくるのが見える。やばい雰囲気を悟り即行で裏の扉から逃げる。非常用縄梯子を必死に登って地上に出て何事も無かったように群衆に紛れ山手線で帰宅する。
posted by コマプ墨田 at 02:12| 断片小説

2011年07月02日

断片小説JABROID「完全無欠の人造美的身体と睾丸人間」

印度洋風のバロック音楽が流れる名曲喫茶に招聘され、冷やし素麺でくくりつけて天井で鳴らした三弦ギターに五百本の弦を張る方法を考える漫才をやる。耳掻きでみかんネットを積んでいく漫才もやる。窓辺に三角定規を並べる漫才もやる。亀の甲羅に暗号を記入し海に戻す漫才が破棄される。いざとなったら理屈ぬきで辞退者をつのり円舞台を回転上昇させてアンドロイドを裏表逆相にて登場させる興行に変更する。金色のメタルコスチュームの優美さに魅了されてさまざまな亜流が何十年も模索されそれなりの成果をあげる近代史を説明する。これと対抗的に同じく金色に塗った睾丸を頭に載せて全体を男性生殖器人間とする理念のヤクルトからの健康飲料が発売され、各国はこの不可解な列島での事象の研究に着手した。現在までに、実はそれが国家不能の象徴であるとするのが主軸の見解となっている。即ち、巨大な睾丸が頭上に乗っかってることから表出されるところの男根身体は勃起時の状態に対して上下が逆様であり、かつペニス部分が老人の顔で構成されていることからこれは誰の眼にも明らかだというのである。名曲喫茶の片隅で外交官のやりとりがこちらに筒抜けとなる。「五十二段階変化に曲がって中心から迂回できないか考えたい。」納得の行く情報操作を模索する必要が生じるてるらしく、指揮委員会は裏山の中腹にある廃屋を勝手に使っていることに明け方気づいたという。現代アートの技術供与を世界から求めそれを自国で発展させたので最新の芸術の都を中国とすることの世界同意を打診する。ばかげた集会で歌うつもりだったが見掛けだけまともなパントマイムを上演するためにだらだらやることに国民集会する必要があるかどうかで殴りあう。某国の崩壊元素調査官ABCは少年期の間に共同謀議90周年記念式典で失禁し大混乱を拡大させるためにはニセ調書作成の押印方式に取り組むマジックの熟達が必要があると誘導した模様である。婦女暴行だとして米国で逮捕されたのに告訴側の供述が怪しくなり開放される理事が笑っている。車両側面全部企業広告の列車がホームに滑り込んできた。「なにこれ、気持ち悪いわねぇ。」「これって中も全部なのよ。気味悪いから次で行かない? 巣鴨まで結構あるもの。」と婦人らの会話が聞こえてくる。自分もその意見に納得し速攻でバカボンに上書きして見送る。所詮こういうので文化的尺度など眼中に無い人民協議会なんか実体が掴めないのであるから問題は起こらない。ついでに39番線に待機している伊東に向かう温泉列車に黄緑の線を入れてくる。ホームで逆さ言葉の講習会の報告を聴く。「ニンキペンギンペキンニ」と言ってるので「ニンニクペンギンペクニンニ」とパクって発表するものの、ペクニンという物質があまりに専門的過ぎる事に加えニンニクペンギンというのが可愛くないというので女生徒から総すかんを食らう。スジャータグレープよりDoleグレープの方が13円安いので3本買い置きする。「ランナーの状況は不穏な事態に推移して御座います」とオリンピックの実況中継で言った為に「もうちょっと実感のある日本語を使え」との抗議の電話で回線がパンクする。群衆の不満が誤った解釈で描かれるドラマで実感を失っていながら何も終わらせることが出来ず100年が過ぎる。

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膨張捕獲機訓練の早期移転計画に基づき防衛大臣が地元に説明すると言っているがそれに伴う地場産業との連携や関係者への友好費着服などについて複雑な練習をして最後に後出しジャンケンを求めました、などとなるのが通常である。よく見ると無限地獄と海峡の狂気音響炸裂の船舶の拿捕ともあり、誰も見ないようなエロ漫画の横に、マラッカ海峡に集団移動して巨大化を見つけるのだという船団の遭難事故で、バンドネオンで浮力をつけて奇跡的に助かった演奏家の記事が数行書かれてある。
posted by コマプ墨田 at 22:23| 断片小説

断片小説JABROID「SF/アシッド・サンフラワー2世号の放棄された出だし部分」

インド洋風のパンクロックが流れる。針金でくくりつけて天井で鳴らす。ガガッ、ギョリギョリー、ギチギョギギュビー。ばかばかしいので聞き取れないラジオを水に沈める。異常に深い金たらいを掘り返し放り込むことにする。拾ったおまけを屋根の先端に飾ることにする。長いものを収める箱を作るのでふすまをぶち抜くことにする。三玄ギターに5本の弦を張る方法を考えるバイト。耳掻きでみかんネットを積んでいくバイト。窓辺に三角定規を並べるバイト。亀の甲羅に暗号を記入し海に戻すバイト。「とりあえず数十名がやってるので。」「五十二段階変化に曲がって向こうから迂回できる。」などと納得の行く説明会を開催する必要が生じる。委員会は裏山の中腹にある廃屋を勝手に使っていることに明け方気づく。ばかげた集会で歌うつもりだったが見掛けだけまともな交響曲を演奏するためにだらだらやることに方針転換する必要が生じる。某国の造船関係者は数日の間に共同謀議90周年記念式典で逆ギレし大混乱を存続させるためには調書作成の手動方式に取り組む必要があると返答した模様である。

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膨張捕獲機訓練の早期移転計画に基づき防衛大臣が地元に説明するはすだが、それに伴う地場産業との連携や関係者への友好費着服などについて複雑な練習をして最後にジャンケンを求めました、などと流れる。よく見るとブランハック海峡の狂気船舶の拿捕ともあり、マラッカ海峡に集団移動して巨大化を見つけるのだという。バンドネオンで浮力をつけて奇跡的に助かった演奏家の記事を読む。前輪の三回転でこける時に底に沈むにつれて遠くで日曜バラエティーの盛り上がりがこもって聴こえてくる。ジェームス・ディーンを逆さに張るとよいと学生集会で力説する。サンダルを耳に引っ掛けると縁起がいいと力説する。名人が薄く削ったカンナ屑は鰹節にまぜても30%までなら誰も気づかないと力説する。沈没の経路が左右対称なのを嫌ってちょっとづつ金たらいを右に曲げる。山と積まれた苦情への回答は風船で送るから何年もかかるぞとヤツら全員に電話で教えてやる。「報道関係は何番?」と聞かれ、キャンデイズと書いてファンにたしなめられる。金たらいはまるで塔のようなので5階の窓からこれを投入するようにとヘレンに電信する。モガランバスマナラの百人が元五輪水泳選手と討論する。封筒で送ると200円なのに規則通り小包になりグミチョコ三個セットが送料1000円になるので交渉する。

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ギニョール船長が1万円なのにガメラが200円というのはおかしいと陳列棚の値札を勝手に取り替えたオタクが逮捕される。昨日の雨でガラスの粉の山がずいぶん流れた。「夜間の螺旋街道なのでよく見えなかったらしい。」「それにしても分離の仕方が不規則すぎる。」「もともとそうなるように設計されているそうだ。」「なるほど衝撃の拡散って事か。」協会の屋根の上に散乱する部品群。回収の手立てを探すと剥き出しの栗の木が毒素を循環して無駄に100年時間が過ぎる。充実した無制限の虎パンを十年おきに披露する学校に入学する。数段階に分けて見飽きたアルバムの場面を削り取る。ABCを聴きながらABCDと記入する。学生時代真面目に曲げたものをテキトーに伸ばす。コンチネンタルタントリズミックマイナーセブンスの三段奏法に聴こえる。収拾のつかない小学校前の暴動を避けて帰ることにし、マリアンヌ坂をおりていくと職務質問にあうものの、知人のプロフィールを完璧に詐称して難を逃れる。
posted by コマプ墨田 at 14:59| 断片小説

2011年07月01日

断片小説JABROID「新宿に行ったかもしれないような記録」

見たことも無いのにカナリヤの青いヤツのことを歌ってみる。生徒がゴミ箱に棄てたケント紙を貰ってきてタワシで洗って描くとタダなので心が豊かになる。ピエール・モリニエはチベットマンダラから影響を受けている。重大な失敗が起こらないままデッサンが出来上がっていくので自分は才能が無いと悟る。自力で砂で書いても風で消え去るように窓辺に工夫する。三階建ての廃屋。双頭怪獣のデザインなので左右異なる色で塗ってみるものの、結局造形能力が発揮されるのでまとまりがありつまらないので、分割軸を決めるのに振り子理論を用いることにする。そして湾曲法が狂ったので特殊な集積が強調されているものが見つかり、現代印象主義の威厳をもつ貯金箱を作って百万円を貯めることで落ち着く。新宿で巨大な広告塔を使って芸術展が開催されているが一般的には認知されていない。ナゾナゾが重要で解答があると受け付けられないので、投票用紙を正確に使うだけのことで人生の大部分が消化される。彼女はダダのデザインをドレスに応用して地中海風でステージに出たが、さらにカンザシ三本を勝手に立てて円谷に怒られる。左右対称に見せて絶妙に違反する意図である。名刺に芸術家と書くか自由業と書くか悩み結局両方書く。今度金が入ったら25号キャンバスでいこうと夢見ていたが結局牛乳パックの20センチ四方ほどの芸術活動から離脱できない。捨てる前提だとより自由になるので十分である。分不相応の大型作品の処分に苦慮し細かく切って小さくて多数の作品に改造することにする。盆栽にフィギュアを並べて展覧会をやってる人のことを今朝特集していてやられたと思う。くよくよせず新宿に向かう。ついに左手だけでインプットできる電子辞書を発見したが、スマフォで検索するとヨドバシで買うとネットより五百円ほど高いのが分かったがその場で買う。三日間徹底的に左手入力を訓練する。爆発が継続するところに密かに埋めておく。多少高そうにも見えるダイソーグッズを買ってきて二百円で売る作戦会議をする。芸術だと売れないのでコースターだといって売る。線を引くのが面倒になり妹に作業を押し付ける。キーボードのOだけが押し難い位置に当たり難儀するが克服する。今度金が入ったら不規則な木箱でいこうとうそぶいていたが結局牛乳パックの20センチ四方ほどの芸術から離脱する。ブクブク感知器。振動が継続するところに密かに埋めてくる。線を引くのが面倒になり妹に作業を押し付ける。勝手に回転してるものに絵の具をたらしてあっというまに多数の絵を描く装置。牛乳パックと割り箸でキャンバスが作れるという講習会を始め判断力が無いのに講師になる。箱を作って絵の具と水を入れて後は置いとくだけで絵画になる。ホンジュラスって怪獣の名前をつけて政府から厳重注意される。krntidyとかpontracaritolとかqeelpondとか勝手に打って無理やりの変換を試みる。得るものは何も無いと三ヶ月深夜放送で流したら意外と儲かる。いくつかの種類の色を指示して塗ってみる。歪曲本とフランジでバスが作れるという講習会を始め判断力が無いのに講師になる夢を見る。ミニカメラを作ってゾウガメの模型とカラス貝を入れて後は置いとくだけで絵画になる。水平が狂ったので特殊な旋律が強調されているものが見つかる。新しいプッチョのデザインが実にいいので買い貯めに走る。見かけだけ芸術であるようにして中身はチョコという企画を持ち込みデザイン部からバカにされる。

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ゆっくり道を降りていくと砂漠に雨が降っている。思い出したこととデタラメで書いたことの区別がつかなくなり手紙の差出人を偽装して投函する。地下街で夕飯を食う。途中下車すると電車賃が高くつくので飯田橋まで歩く。
posted by コマプ墨田 at 03:33| 断片小説

断片小説JABROID「工場に行く」

バランスの悪い屋根の工事で梅雨時が災いして雨漏りが起こる。唇よ熱く語れと命じられ赤と青で左右半々に塗ってみる。手紙を書く。冷蔵庫を勝手に開ける熊の話。巨大な球体の青いホルダーを組み立てて引出しにしまい込んでいたのを思い出すと湿気で歪んでいるので当時の苦労が哀れになる。屋根が崩れる。窓の外をゆっくりと瓦が落下している。恐らく先端がやわらかい砂地に埋まり100年かけて埋没する。泳ぎきれないと湖上で眠ることになると言われ必死にバタ足を加速させて足がつって立ち上がると遠浅だったので命拾いをする。

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畳の裏に手紙を貼り付けて隠していたのに引越屋が全部持っていってしまった。「もしもし畳まで持っていく必要は無いと言ったではないの。」「通常のサービスパックでそこだけ変えることは出来ない社則となっております。ご安心ください。既に古い畳と別に新しいものがご新居に配置されているはずです。ぬかりありません。」 「そんなことはたのんでないんだけど。で、前の畳は今どこ?」 結局私は畳の処分工場があるボロバンバ半島に向かうべく夜行列車に飛び乗る。瓦の落下の枚数を確認していたので窓を閉め忘れたことを思い出す。斜面から三角定規が通過するように平面図を考える。持ち上げすぎたので逆側が下がり濡れてしまう。もったいないけど棄てることにする。夜行列車の最後尾からおもいっきり回転させて投げた。山火事の中を通過した列車がトンネルをくぐって真夏の雪国に向かう。零時の時報が列車内に鳴り響き眠れない。コウモリの群れが3号車に住み着いている。何度目かの夜明けが来て終着駅に到着した列車から行商の婦人らが降りていく。それに繋がって降りていくことで地域割引料金が適用になるとふんだがばれて割り増しになる。人気の無い商店街に古いプラモデル屋がありガラス棚を鑑賞する。ガメラ対ギャオスの対決モデルに勝手な色が塗られているので案の定壁に客の苦情が落書きされいる。砂利道にきのこが生えているを摘んでいる人がいる。「もしもし、ちょっとお伺いしますが、畳焼却工場への道はこれでオッケーですかね?」「ああ、正確には全国古畳処理工場ね。そう、ここを行って河っぺり。」「どうもどうも。」 きついのぼりになって川なんかあるのかと思ったら結局山越えとなる。峠を越えると滝の真下に巨大な煙突が見え、もくもくと黒煙を上げている。「先月末に到着したはずの畳ナンバー82094443ハム21~27ってのを回収にきたんですが。」「ああ、それ本社から連絡着てますけどね、こういう事例はかつて一度も無いのであるので、それを探すとなると大変な過程が待ち受けているのですよ。ホントにやりますか?」工場長からその詳細を長々と教授される。手紙の重要性と作業の過酷さを天秤にかけて諦める。悔し涙を流しつつ作業班に混じってホカ弁をご馳走になる。「まぁ無理あるっぺよ。」 「だわなぁ、1万枚から積んである山から一枚づつ降ろしてまた積むわけだっょ。」「ばってん、そんなええ畳なんぞあったべっかなぁ?」 「畳じゃなくて手紙が裏に・・・。」「ああ、そらだったば、そげなのは管理事務所に全部とってあっぺ〜。」ギラギラの夏の森。ブルトンの肖像画が若干斜めになっている壁。強烈な亀裂が発生し修復箇所に鉛が詰められている。畳を積んだポンポン船が湖面を連絡する。紫に塗って白く塗ったのでややピンクになる。裸足で芝生を歩いて扉を開けて手紙を受け取る。山越えをしなくても社員専用の隋道があると告げられ簡単に駅に到着する。
posted by コマプ墨田 at 00:41| 断片小説

2011年06月29日

断片小説JABROID「夏の電波塔」

氷の上に電波塔を建てて螺旋階段で登る。春先にかしいできたので滑り台で降りる。垂直線をイメージしてエレベーターが設置されるとした時の危険と安全のバランスを配慮し改造しなさいという命題。そうこうしているうちに流氷となって流れ出したのでまた計画が変更される。氷の島ごと南方にどんどん移動したものの、ついに沖ノ鳥島付近で電波塔から海底に沈没中という報告を本部が受け取る。「緊急ミッションavgfwqoeh4500dに計画を変更する。」「ラジャー。」「乗組員諸君、よく聞くように。本部指令により本船は今から海底軍艦モードに移行する。推進装置スイッチオーン。」ゆっくり海底に沈んでいく電波等の4本の脚部各々から水中ジェットが噴射され、鉄塔中段付近に数枚の舵が出てくる。電波塔は全長六百数十メートルの海底軍艦として太平洋南下を始める。さまざまな海流魚が発光している。発見された新たな海底火山に名前を付ける。プットランマルト山、シュルピンフルトベングランク山、ベルベル山、テカテカビカリ山、ヒュドラ三角錐連山、などである。

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そうこうしているうちにインドネシア近くに到着すると、海底が浅くなってきた。「海底電波塔モードに切り替える。」4本の水中ジェットに加え側部の補助ジェットが用いられ先端を海上に向けて船体が持ち上がる。全長六百数十メートルの内五十メートルほどが海上に突出する。「インドネシア政府応答願います。我々は数ヶ月にわたりここで海底都市遺跡の調査を行いますが、了承お願いします。」「海底軍艦電波塔どうぞ、こちらインドネシア政府。その件は既に日本政府から打診を受けており、許可手続きは完了しております。」「了解。」電波塔第二展望室箇所が6機の高速海底探査艇に分離し海底に移動していく。数ヶ月の調査の結果、パパラママラ海底王朝の古代遺品の多くが回収されインドネシア政府側に引き渡される。海上に突出した部分にクレーン機能が付加されインドネシア側の回収船が横付けされ膨大な遺品を積み込んでる。海底軍艦電波塔第一展望室にはインドネシア政府文化大臣が招待されている。「船長どうもありがとう。今後も協力して新しい調査を続けようではないか。」「大臣了解です。第二期以降の調査計画は南極海調査以後また段取りを組みましょう。今回の調査成果は両政府連盟で科学雑誌ネイチャーに発表される段取りとなっています。では我々は次の調査ミッションに向かいます。インドネシア政府ご協力ありがとう。」現在海底軍艦電波塔はオーストラリアを抜けて南極海を目指し進行中である。
posted by コマプ墨田 at 20:29| 断片小説

断片小説JABROID「仮のいくつかと斜め奥行きに棄てられる三個ある電飾の内の二つ」

電波の隙間に受信装置を逆さに入れて海老のように見せる。基準値を決めて数値の大小で地域が確認される。すばらしい河の景色だと感動する人に「いいえあれは長い池です」と事実を伝えた。「一回潜らないとならないがそれは確かであり、夜間に非合法で試みる者がよく逮捕されている。」「危険は無いの?」「上手く水中潮流に乗っていけば黙っても十数分で湾に出るらしい。」スパイラル状に階級的な花壇を作り色別に植物を育てましょうという宣伝。髪の毛の形のように風景が描かれて水のように見せる芸術。「ただ下水路との接続地域があり、そこで流れからはぐれると危ない。」巨大な鉄塔を水中から突き上げるように構築する計画。「マギーミュルンマム水中虫というの知ってる?」「ああ知ってる。この近辺にもいるらしいよ。」「ガラからのキキという小説に出てくる宇宙怪獣なんだけど?」ほとんど左右対称にみえるのだが実は絶妙に中心軸をまげてあるボートがありまっすぐ漕ぐと岸に乗り上げるように仕組まれているものがある。

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絵画会に筆を忘れて行ったので、強引に一本だけ借りてそれで全部描いて特選を取る。その後青ガラスのコップがもらえる抽選会に向かう。千円落として百円拾う。抽象絵画を専攻したので石膏デッサンが上手いことを隠し通した画学生の苦悩を和らげるためにクレー展に行く。竹橋から徒歩で九段下に出たのでそれなりに疲労を感じる。見た目より塩辛い100円菓子を出してボリボリ食う。白いカタツムリの殻を拾ってみる。無印良品で買って自分の印を入れる。その途中で女子高生に100万回のメールを出して捕まる。湖岸に植え込まれている気の利かない麦畑の中を行く。やがて坂道を転がって落石が湖面に集積する特別の場所に沈む古代遺跡を通り、扇風機を改造して水中モーターが出来ないかと先生に聞く。気づくと飛魚をデザインしたヘリコプターの着陸基地で火災が起こってるとの地域放送が遠くに聞こえる。なるべく無駄なことだけやって一生を送りなさいという偉い学者の教えを思い出す。その後に、大人のために電波送信するといいながら子供じみたののしりあいに終始する午前の文化番組を思い出しながら、美味いと思って食うと不味いと思うので不味いと思って食うようにと妻から言われて渡された弁当を昼飯で食う。「ここから海に繋がってると聞いたことがある。」勢いよく署名された自分の名前の最後にバナナ三本の印を押す画学生。電気メーターをただでもらってきて所定の場所に取り付ける。

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いくつかのボートの所有者が出発所で切符を渡しているが多くは漕ぎ出た先の水面に落としてしまうので帰還した際に増額料金を要求される。巻貝の化石。説明書にパンチングメタルとあったので拳で叩きまくって東急ハンズの出入り禁止になる。勝手に船尾に推進装置を接続して時速80キロほどの水上走行を楽しむ者があり取締りを強化する予定となっている。監視員の眼を盗んで水中にもぐり湖底生物の捕獲をやる者もあり、これと違法水上走行ボートとの接触事故が増加している。
posted by コマプ墨田 at 17:01| 断片小説

断片小説JABROID「あるようなpen34の場所の異端と常識に向けて戻された手帳かミシン目」

いくつかの年老いたような要因が見受けられ時代と様式が推測されたのでそれはいくつかの情報の焼き直しの上で美化されている。廃墟に残ったカラオケ装置。その隙間に埋め込まれたミウノウ断片を解読し光にかざすと紫色の太陽光の手前に直線状の放射があることを理解し埋め戻す。予想通りに水平に動く小さな蛇のようなものを見る。千切れたカーテンによって窓に抽象的な視覚が完成されている場所でくつろぎ、通過すると数メートルのコンクリート壁を縦に加工して湿地帯に出るだろう。家の下部の隙間に網状の窓を設置した昔の住人がいて、半ばそれは崩壊しているので蛇は隙間から縁の下に逃れる。「もしもし、回線があると聴いていますか?」「可能であれば2を、捜査中であれば5を、当てはまる項目が見つからない場合は0688ns6puを入力してください。操作を2分以内に完了しない場合は延滞料金が加算されます。」「単純なキャンセルの話なのですが。」「ガガ.キキ,,,,20世紀初頭の設定に順じてこの会話は自動的に判断されています。

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キキ..ガラガラ,,,キキ.ガガ」残ったパチンコ玉を弾いて装置を止める。割れたガラスから再投入できる。内部壁には上層部に繋がる隙間が不規則に巡らされているので、いずれ炎天下の屋根に到達しスコールに乗って地面に落ちる。全てが順調であることを前提に連絡されるので失敗したダメージがそのつど最大になる国家政策をテーマにした無言劇のシナリオが積まれている。「無目的なことだけ言ってください。」「塗ったり描いたりすることで項目を満たしたいという確認をします。」「無条件ということが条件となります。」「数十枚のチェック項目全てにチェックを入れたことを口頭で報告してください。」木目が浮き上がる壁を利用してそれに絵を描く。塗りつぶされた箇所に自由に言葉を入れて会話を成立させる。いくつかの年老いたような要因が見受けられ時代と様式が推測されたのでそれはいくつかの情報の焼き直しの上で美化されている。千切れたカーテンに残ったカラオケ装置。その隙間に埋め込まれたミウノウ断片を解読し光にかざすと紫色の太陽光の手前に直線状の放射があることを理解し埋め戻す。予想通りに水平に動く小さな蛇のようなものを見る。パーラオプションによって鍵穴に抽象的な円盤が完成されている場所でくつろぎ、通過すると浄化された廃墟壁を縦に加工して湿地帯に出るだろう。家の上部の閉鎖面に粒状の屋根を設置した隣の住人がいて、半ばそれは完成しているので蛇は隙間から縁の下に逃れる。得意料理として示された単純な料理の報道。結ばれた直線に湾曲を与えそれを象徴し事実の記憶を作る。枯れた木片が折れる。二分の三を埋めて先端のいくつかの枯葉を接着し植物の領域を示す。西側に巨大な赤い像があり顔の半分が赤縦線の集積で満たされ頭髪に繋がる灯台となっている。フォークを突き刺したままになっているチーズをそれごと冷凍庫に入れるために倒す。垂直を嫌って旗竿を傾けたので委員会から厳重注意を受けた記録。自転車歌謡をかけっぱなしで穴掘り作業を続け全てを一箇所に埋め、表層を花壇にする予定で数年前に貰った粉のような種を蒔く。斜面にて刈り取られた樹木の束を縦横に積み重ね均衡をとる。全体の裸体は巧みに部分的を隠され品位が実は保たれている。電信装置を無防備に使うことを薦めることにより甚大な性的犯罪が生まれ産業の支えとなっているが犠牲は少数だとして優先される産業構造。弾丸のような二つが真っ白に燃えている。重量系として示された単純なミラーの報道。結ばれた直線に湾曲を与えそれを象徴し事実の記憶を作る。枯れた木片が折れる。二分の三を埋めて先端のいくつかの枯葉を接着し植物の領域を示す。西側に巨大な赤い像があり顔の半分が赤縦線の集積で満たされ頭髪に繋がるデザインとなっている。内部壁には上層部に繋がる隙間が不規則に巡らされているので、いずれ炎天下の屋根に到達しスコールに乗って地面に落ちる。全てが順調であることを前提に連絡されるので失敗したダメージがそのつど最大になる団体をテーマにした無言劇のシナリオが積まれている。旋回装置が浮き上がる壁を利用してそれに絵を描く。塗りつぶされた箇所に自由に言葉を入れて会話を成立させる。得意料理として示された単純な料理の報道。結ばれた直線に膨張感を与えそれを象徴し事実の記憶を作る。枯れた木片が折れる。二分の三を埋めて先端のいくつかの枯葉を接着し植物の領域を示す。西側に巨大な赤い像があり顔の半分が赤縦線の集積で満たされ頭髪に繋がるデザインとなっている。

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明日を予想して書いておいた日記が今日の内容となる。その論理の延長で身体の縦方向に揺らぎを与えた連なる引き出しを接続した衣装が考えられることになる。キリンのように燃えるものが背景に設置されめずらしくそれは溶解を免れる。窓のそばに置かれた八面体の改造物に乗せられた薔薇。消音装置で完全に音が出ない回転話術のための口座に申し込みそのまま出席できない事情をメールする。雨季だというのに意外と雨が降っていないので上層階の崩壊した子供プールに溜まった水を汲んで流す。抜け落ちた大半の文章を数名からメールしてもらって解答用紙に記入すると全体が埋まった状態になり教師に提出して退場する。昼食を食べて電卓の調整をする。
posted by コマプ墨田 at 13:23| 断片小説

2011年02月28日

蛇の行方

明け方雨が降っている。日中やり忘れたささやかな作業を終えるために外で一度雨に濡れたが、暖をとっていると再び眠気が起こってきたのでもう一度眠るつもりだ。

廃屋の壁の隙間から小さな蛇が入ってきたようで、鍵盤の白と黒の段差をよぎるように動いている。壊れた白鍵があり跳ね返りが弱いために、そこで自分の重さによって経路が変わり落下する。するりと空中へ降りていく途中を狙い、そっと手のひらで受けとめようと流れを追ったものの、蛇の動きはそれをすり抜けて蛸足配線の束の上に合流し、床に氾濫した書籍や廃品の隙間をくぐり見えなくなった。それは数年前の今日と同じ雨の日のことである。そのことを思い出している。

昨日は晴れていた。数ヶ月前からやることを決めていた作業を行った。裏の作業小屋の床板が湿気で朽ち果てたので、新しい板に張り替えるために引き剥がしたのである。反り返った床板を全て取り去ると湿気た土の面があらわになる。細かい木片やごみを拾う作業をしていると、小さな木の枝のようなものが見つかった。これも拾って捨てようと手を伸ばすがよく見ると木の枝ではなく、干からびた小さな蛇の遺骸であった。

あの雨の日に母屋に入ってきた蛇はその後部屋の中で見たことがなく、部屋のどこかで死んでしまってるのだろうかと時々思い出していたのだが、蛇はなんとか別の隙間を見つけて母屋の外に出て作業小屋まで移動し、ついにそこで死んだのだろうかという思いが浮かぶ。それと同時に「ふとあなたの庭の方を見たら蛇がいて、あの小屋の方にはって行ったのだけど」と、去年引っ越した隣の未亡人が言っていた話が思い出された。婦人はもっと大きな蛇のことを言っていたとばかり思っていたが、確かに大きさについては確認していないので、彼女が見たのはこの小さな蛇の母屋から作業小屋までの移動だったのではないかという推測が強くおこる。蛇の大きさがどの程であったかをあの時確認しなかったことが悔やまれる。

一度は私の部屋を訪れた蛇かも知れぬと思うと不憫に思う気持ちがおこり、作業小屋の床下にささやかな墓標でも作ってやろうと思ったが、床下の構造を作ってからでなければ位置を確定しづらく、とりあえずすくい取って軒下においておくことにしたが、そのことを忘れてその夜は眠ってしまった。明け方睡眠が浅くなった時それを思い出し、遺骸が雨に打たれて砕けていないかと雨の中様子を見に行った。しかし懐中電灯の光をその場所に当てると、干からびた蛇の遺骸は水を吸ってむしろ硬く重そうに見えた。遺骸を作業小屋の中に入れて、雨の中を母屋に戻ると雨がより強くなった。
posted by コマプ墨田 at 12:53| 断片小説

2010年09月11日

断片小説JABROID 「河川下商業施設での議論」

高層階の窓からぎりぎり見えていた夕日が階段を降りて街路に出る間に沈んでいた。青く薄暗い地表の街路をしばらく行って河沿いに行く。やがて橋に辿り着いたので渡ろうとしたが、巨大すぎて歩行者が使う通路の入り口が分からない。何度かそこらを行き来し探しても分からない。河川敷から上ってきた老人があったので聞くと無言で指差す箇所に小さな鉄扉があった。「そうか扉を開けて入る形式だったのか」と安堵する。老人に礼を言い、扉をこじ開け冷たい空気の中に階段を降りて行った。歩行者用の経路は橋ではなく別途に河の下を通る隋道形式であることが途中の壁に書かれてあった。階段を降りきると通路が丁字路にあたり左右に方向が分かれた。不可解に思ったが説明のようなものがないので、当てづっぽうに片方を選び行くと格段幅が広い通路に出た。

そこは薄暗いなりにそれなりの商業用電飾が天井の中央に連続配置されていて、まばらながらそこそこの通行人がいる。行商人風の男が荷を背負いながらこっちに来たので、呼び止め河を渡る経路を聞く。男は一瞬驚いた顔をして次に笑いながら、この地下街道は河の真下を河口まで繋ぐ事を主たる目的に作られた古代からの隋道であるから、河の対岸へ渡るにはかなり面倒な作りとなっていると語った。確かにここに来るまでがそうであったと納得しつつ聞いていたが、肝心の対岸への出方を男はうまく説明できないまま行ってしまった。やむなく、男が最後に指差した側にとぼとぼ行くと、標識が天井から下がっており、河口まで2キロ程の位置に今いることが判明する。ならば河口まで行って地上に上がればよかろうと、思いを新たに行くと、やがて通路幅が広くなり左右に経路が別れた。双方は並行しており雑多な商店が軒を連ねている。分かれた左右経路は本来はひとつの領域を商業区画として改造した為に二経路になっただけであるとしばらく歩くと理解された。途中横で繋がる細い通路がありそこにも小さな店がはまり込んでいる。

雑貨や古本を売る店が多い領域を過ぎると飲食街に推移しがやがやとにぎわっている様子だ。学生たちが議論しながら立ち食いそばを食っている。小腹が減ったのでその横に並びそばを注文する。聞いていると今立退き問題で国との争いになっている近くの港湾区域の現場で大仁田と猪瀬が実況対談を10時からやっているはずだという。食い終わってしばらく行くが、この組み合わせはみょうちくりんだとの思いが強まり確認がてらその区画に向かう。古く崩れかけた木造の暖簾街が続き、ますます暗い一角に裸電球数個を下げた焼鳥屋台が通路の真ん中に陣取っている。そこから大仁田の巨体の肩半分がはみだしている。そばに行くと猪瀬は何も言わずぼけっと天井を見ており、大仁田は黙々と焼き鳥を喰らっていた。なるほど実況企画で集まったはいいが話がかみ合わずだらだらと時間だけ過ぎてしまってるのであろう。周囲を見ると、この屋台を取り巻くようにそこそこの野次馬が集まっている。その中からついに、「どうしたんだ何か議論しろっ!」という罵声が飛ぶ。大仁田は意に介せず焼き鳥をひたすら喰っているので、隣に座ってしまった因果で、「大仁田さん、せっかくのこういう機会なんだから議員として見解を述べたらいいじゃないですか」と耳元でつぶやくと、一瞬むっとした後に喰うのをやめた大仁田議員は卓上セットされたマイクをわしづかみにして立ちあがった。一転して語りモードの大仁田議員に切り替わり大演説である。どうも猪瀬とはソリが合わず沈黙していたところ、ここでいい切っ掛けが入ったということのようだ。

その話を聞いていると、「このように国家の思惑で古くから営業している人らが追い出されるのは問題なんだが、政府としても先行き必要となる事業はやらないとならんのだ。俺も役人には言う事は言った。だが時代的に新たな区画整理をやるべきという役所の理屈も否定できないところがある。云々」との言い訳のような説明に終始し、案の定、猪瀬が横から「そんな役人の使いっ走りぐらい誰でもできるだろ」とあまりにいいタイミングで一言入れたために聴衆がどっと沸き、見る見る大仁田の顔が真っ赤になっていった。大仁田は右手にマイク左手に拳固を握り締め、「バカやろう、話は最後まで聞け。俺はちゃんと役人に話をつけてきてんだ。こういうことで立ち退きになった場合に政府が十分な雇用対策をやるって法案の道筋まで立ててきてんだ。とりあえず今回は間に合わんから、別河川の新規地下計画にまるごとここが移転できるように話つけてきてんだよ。しかもそれにも不服がある人は別の雇用対策で十分な賃金が得られるよう至れり尽くせりの材料を準備して、その上でなんとか政府に協力してくれないかとな、そこまでやって言ってんだ。」と声と拳を震わせる。聴衆から「いいぞオオニター」というエールが入り、その声に我に返って席につく大仁田議員。しかし言い足りなかったのか横でぼそぼそまだ言ってるので何気に聞いてると、どうも付加的対策で政府はこの湾岸地域の主力企業に予想される人員の新規採用を既に打診し水面下話はついてるということらしい。「そんな俺の苦労も知らずにテメーらはな」とぼそぼそ言いながら大仁田議員は泣いていた。「まぁ大仁田さんこのカシラでも喰って」と元気付ける。

ひと段落つき放送時間もとっくに終わったのでその場を去ろうとすると、また猪瀬が「そんな対策どこの会社と話してるんだよ。口から出任せじゃないのか?」といやらしくやっかみを入れる。「てめぇ〜」と唸りながら大仁田はまたも立ち上がり再度マイクを握ろうとしたが、既に録音班が機材を撤去した後であったので素でしゃべる。聴衆もまたほとんど帰った後なので小声である。聞いてると、湾岸地域に主工場を整備する国を代表する車両メーカーのトップと話がついてるという。それでも疑う猪瀬に「だったらてめー自分で行って聞いて来い」と未報道の政府水面下交渉であるにもかかわらず社名と内容詳細を全て猪瀬に漏らしてしまう。猪瀬の知的戦略が勝利した一瞬と言うべきだろう。
posted by コマプ墨田 at 14:14| 断片小説

2010年03月02日

断片小説JABROID 「開放空間ホール」

規則的な八方向の放射状の列柱構造による外側に向かって解放された音響空間を作り出すことに成功し、最後に空間の中央に全方向スピーカーを設置しようとすると、それまで何食わぬ顔で作業を眺めていた老人がゆっくり歩み寄ってきて、我々に話しかけた。

「あんたさんらは、せっかく仕組みに気づきましたようですのに、なぜに最後に誤りを成すのですかぇ?」

「誤り?」

「眼に現れる場所の形の描き方は合っておりましょう。それは何のために作りなさったものか。最後の最後に形の分別の届かぬ領地に形あるものを置いても何の理もありませぬ。」

「しかし、これがなければ、この見事に構築された開放音響連鎖空間に音楽を響き渡らせることができませんよ。それこそ無意味じゃないですか。」

「そのようにせずに奏でられる音楽というものを虚空に思うてみなされ。」

「思うだけなら、わざわざこんな構造物などいらない。」

「そうと分かっておれば、そのようでもよろしかったですがのぉ。」

「ご老人。私らをからかっておられるのですか?」

「待ちたまえ北島君。私に今ひとつのイメージが浮かんでる。放射構造の中心領域において、ぎりぎり中心を回避するところの外周を設定できれば、その位置に発信膜を回して発音させることができる。すなわち中心と周縁を分離する円周が設定され、そこで発音が起こる。これが何を意味するかだよ。」

「主任、何も変わりませんよ。聞こえ方は同じ。」

「そのとおり。同じなんだよ。正解だ。その意味が分かるか、北島君。」

「はぁ?」

「中心を領域として設定しようがしまいが同じということだよ。外部では同じに聞こえるのだ。中心は外部の構造で存在が確定されている。それも変わりない。」

「だったら真ん中にスピーカーつけて完成ということで問題ないじゃないですか。」

「北島君、そこだ。そこが違う。同じだからこそ、その形式を完全に設定しなければならないということだよ。音は外部領域のみで成立すべきであり、中心部は鳴っていないべきなのだ。おそらくそれがご老人の思うところの意味ではないかな。」

「そんな装置はいつでも作れますよ。でもどこがそれを設置するぎりぎりの円周なんですか。それってどう決めるんですよ?」

「外周が無限開放だから、確定できない。」

「主任、我々は現実的に物体を設置しないとならんのです!」

「論理的に確定できない条件で、現実的に確定するということは、論理以外の選択が必要ということである。」

「・・・・・。」

「それはあんたさんらご自身で決めればよいので御座います。思い煩い苦しみなさるな。」

「そう言われましても何らかの理屈が欲しいわけでして。」

「ご自身がご自身の師匠となりなされ。」

「・・・・・・。」

「まぁようするに基準なしということか。」

結局この音響空間は列柱構造だけで未完成のまま未だ放置されている。

「つまんない話だね。」
「あもう閉館時間。帰えろか。」
「これ借りる?」
「借りね〜。」

posted by コマプ墨田 at 03:07| 断片小説

2009年08月26日

断片小説JABROID 「峠の寺院」

地平大河を越えて巻き込まれかけた戦闘から逃れてきた我々は古い街道の入り口にさしかかった。「緩やかな長い坂道を登って行くと寺院がありその先を降りると国境の湿地帯に抜ける」という地域労働者の言葉を信じて向かう。いくつかの小さな登り降りを繰り返えすと峠近くに枝道があり数10mほど先に古い温泉宿のような建物がある。門を超えると若い女性が近づいてくる。

「どのような御用でしょうか?」
「この峠を降りて国境を越えるつもりなのです。このあたりに寺院があると聞きましたが?」
「それはここで御座います。」
「えぇっ?」
「峠越は容易ですけど、日が暮れた後の湿地帯は危険ですから、
今夜はここに泊まって夜明けに出た方がよろしゅう御座いますわ。」
「そうですか、それではお世話に。」
ギコギィーィィ〜〜

扉の向こうは広い土間になっていて、幾人かの男たちが壁や柱にもたれてパイプをくゆらせている。
「ああまるで阿片窟みたいじゃないか。」
「彼らは瞑想のために阿片を用いていますわ。」
「え?寺院で?」
「古くから伝わる瞑想法のひとつでどのような権力もそれを否定したことはありませんの。」
「しかし人道的に・・・」
「最も分かり易いひとつの方法なのです。高い瞑想の手立ては限られた人しか到達出来ない。」


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黒っぽい一階の土間を過ぎて寺院と呼ばれるこの建物の二階へ上るといくつかに分かれた扉のない個室があり、その部屋ごとに微動だにしない人が横たわったり胡坐をかいたりしている。一階と違って空間が極めて明るい。

「こんにちわ。一晩お世話になります。」と挨拶をするが、誰一人返事をすることもなく依然微動だにしない。
「この方々はただ自分の瞑想の力だけをもってその境地に近づける方々ですの。その境地から私たちの道理などは意味をなさないと思います。」
「ふ〜ん、なるほどねぇ。」
「一番奥の部屋でお休みください。」

疲れた体を床に伸ばす。やがて夕日に赤く輝きその後に真っ黒に見えた厨子の中の像が朝日に金色に映り始め、我々は夜が明けたことを知る。「さぁ出発しよう。」

荷物をまとめ一階へ下りる階段へ向かおうとすると、青く薄い布で出来た帽子を踏みつけたことに気づく。

「それは今最も深い瞑想を成される方の持っていたものですわね。」
「ああ、そんな方の尊いものを踏みつけてしまって申し訳ない。一言お詫びしなければ。」
「そうですか。では。」
と指差された部屋に向かう。
「申し訳御座いません。どうぞお許しください。悪意はないので御座います。」
と何度も語りかけるが、一切返事がない。
「お怒りなのですかね?」
「いえ、昨日もお伝えしましたけど、あの方々の境地から私たちの道理など意味を成さないのですよ。私たちの道理で何かを期待しても全て無駄で御座います。」
「はぁ〜。」
「ただ私たちがその境地に向けて物事を照らすだけが可能なのです。」
「ふむぅ。」
「それがこの寺院の意味で御座います。」

何のことかよく分からぬままとりあえず再び頭を下げてその部屋を辞すと、向かい側の部屋に薄い真っ白な布をまとった、まるで物体かのような生命感のない身体が見える。不思議に思ってよく見ると、人間の身体と思った布の中の存在は人為的に作られた何らかの物体である。

「最も高い瞑想の果てに境地を得た方が残されたものです。」

それがいつからそこにあるものなのか、それが何なのか、像のようなものか、何かの器具なのか、分からないまま階段を下りて、寺院の門を出て、我々は湿地帯の国境へ向かう。振り向くとその温泉宿のような建物には小さな三階部分があるのが見える。

「そう言えば俺たちが寝ていた部屋の奥に階段があったかな。」
「忘れなよ、どう考えてもありぁ俺たちには無縁だ。」


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posted by コマプ墨田 at 22:36| 断片小説

2009年07月11日

断片小説JABROID 続惑星工作部隊ZANGAIN バンカの夏 場面dmau-1665

円周の文字列

「この円形の丘は人工のもの。私たちが通過してきた円周上に古代文字の記述が連続的に現れていた。一周して戻った今、それは一つの文面として理解されるの。本来は隠された言葉のはずなのだけど、姉の発見した特別な円周のたどり方によってだけ読める。」
「でも普通に回って歩いてきたように思うけど?」
「円周を回転しながら歩くということは、中心と自分の位置との距離において、さまざまな要素を捉える可能性があるということを考えて。つまり視線の問題なの。」
「リルムさん、私にはそれ理解が難しいみたい。」
「ごめんなさい。それは当然よ。私も姉から何度も説明を受けたから。示されてる言葉はこういうことなの。一周した今それが私に理解されてる。」

男たちには分かろうとする努力がゆえに何も分からない。
分からないことでここに繋がる場所にいる。
私たちの周りにはあらゆる複雑な手続きや仕組みのようなものがまとわりついていると彼らには映っているに違いない。
でも、実は私たち自身にとって、それは特に何の根拠もなく、
本来何の必要もなく、意味もなく、説明の付かない程度のものでかまわず、
全く異なる形式にいつでも取り替えてしまえる程度のものに過ぎない。
何らかの一続きに見える過程を彼らに与えさえすればそれでいい。
その程度だけのことが私たちにとってのそれとの関わりである。
なぜなら彼らには、そうした何らかの形のようなもの、
彼らの意識が向かう形を作るようなもの、
たどり着く行いの手続きのようなもの、
そのように見えるだけのものがどうしてもいるからである。
それがなければ、彼らは私たちの在るこの内側の場所に向かえない。
ただそれだけのために、
彼らに全く読み取れない言葉が与えられなければならない。
読み取れないことがその本質であり、
読み取れないから彼らは真実を見ようとするのである。
そのことにおいて私たちが男に与える愛が形あるものとなり外に現れる。
これは真実を一切不要とする者の言葉として記された。

「男たちってあるから、真実を一切不要とする者というのは女のことかしら? でも私たちだって真実という概念はあると思うけど?」
「サブリナさん、それはね。私たちも今外にいるからだと思うの。」
「難しいのね。」
「二人とも何ブツブツ話してんだよ。」
「刑事なんかに教えられないわ。」
「なんだ?女性同盟かよ。」
「男衆は聞いちゃ成らんことだろうのぉ。」
「この刑事ジョビー、お婆さまには逆らいません。」
カタコーン、カタカタカタ。
「最終の地下鉄道は行ってしまったので歩いて帰りましょ。」
posted by コマプ墨田 at 04:44| 断片小説

2009年07月06日

断片小説 続 惑星工作部隊ZANGAIN バンカの夏 場面eqwn9458

地下遺跡探訪

なにげに監視され続ける車輪の縦列を通りすぎる。2人づつ移動し並行に交差して重なり一組に見えるような位置を意識する。とりあえず気付かれてない模様。カランカランカラン・グゥオ〜ン、バシッ。異常な音なんだが。古代鉄道が上層を通過する時のエコー効果で遺跡が共鳴してるんだけど、わざとの造りじゃないみたい。それってやばくねぇスカ?崩落の?知ってるだけで3回は周辺が崩れたわね。ええっ。だから言ってるわけなの。そんなこと言われてもですね。ジロー、広いように見えても所詮は地下の空洞なのよ。古代鉄道も配慮はされてるようだし気をつけてれば大丈夫よ。ゆっくり周辺から近づいてぎりぎり中央と推測できる箇所を見ないようにして放射構造をイメージできるかが重要。じゃ何を見るのよ。周辺よ。どこからが周辺スカ。刑事がそう思うあたりからでいいんじゃないの。一箇所にこだわらないでね。ざざっと見渡すとただの小高い丘なんですけど。ですわね。カカンカカンガガガ・ゴー。おぉっまた来た。今度のは気を使って走ってるな。ガッッカン・ゴー。サブリナさ、捕まる前に似たことやってたろ。でも中心部は構造が不明だけど絶対壊れないみたい。あ、そうか。でもあの時はもともと回りの階段を動きながらだったから自然とそうなっただけなのよね。ゆっくり回りながらでもいいのよ。どっち回転スカ?しきたりでは左です。じゃおれ右。もう刑事バチあたりね。完全に正確な円形とは言えないから同じ速度で回っても丁度反対側で出会うとは限らないわ。別にいいじゃん、ちょっとぐらいズレたって。私たちと出会う前に柵の途中に二つゲートがあると思うの。中に入っちゃだめよ。時計のガラスの湾曲で直行する構造が変形する。褐色に浮き出た円弧と灰色の正方形の四十五度の交差関係に気付くが歩行は円弧に優先される。バルチアクスと読めるのかな?崩壊する寸前の驚愕の形状。もたれかかってなんとか安定するので振動がいい具合に伝わらないのかも。抱き上げた子供を背負い車輪を前に移動させ行く人の彫像。船に乗って川くだりをしているような彫像。ブッシュマンのような男たちの彫像。どうしてもストーリーが見い出せんなぁ。ビウクァッシ。壊れそうなところは報告してちょうだい。外周は自由とは言っても危険な場所まで行かないように。どこからそうなの?判断がつかないならじっとしていて。でも柵の内側に明かりが見えるじゃん。誰か入って蝋燭でも立ててるわけでしょ。長老会が口伝に則ってまつりごとを取り仕切ってるのね。危険というより柵の内側はもともと禁止よ。ど真ん中には明かりつけないみたいだな。なるほどどここかい。ちっと入っちゃおうかなと思わせる無防備ぶりだね。保釈中の身だからつつしむべ。これこれ男衆はなりませんよ。おっとこれはこれはご老人いずこから。今日は三段目のお堂に灯をあげる日ですぞえ。あ、ということはあれはご老人が灯されましたのですか。はいはい、私らお婆の役目で御座いますよ。はて?あんた様お見かけせぬ方ですな? おっとこれは申し遅れました。わたくし実は昨日遺跡の不法侵入というとがで捕まりましてですね。逃げるようにも見えないというので、とりあえず長老会様の裁判があるまで保釈になってるので御座います。おお、おお、あんたさんらですかえ聞いておりますよ。明日わしらが集まりましてな。ウワッチ・・・・・。

「お父様へ サブリナさん方にクエルモP24遺構をお見せしようかと思います。けして逃亡することはないと思います。夕方には戻ります。リルム」

まったく姉妹ともども勝手なことばかりしやがって(怒
posted by コマプ墨田 at 17:21| 断片小説

断片小説JABROID 裸体と水平

目測でほぼ水平を確認した長方形の固い面の上に裸になった彼女が横になると我々の作業は新たな段階に移った。最終的にフレームの定位置まで特殊な樹脂を流すとある一定時間で彼女の背面半分の形が移し取られ、そこで最初の過程が終了する。失敗が起こる場合のよく知られたいくつかの原因が経験から特定されており、それを防ぐために午前の主だった時間が費やされる。最も重要な一つは、台の水平と、その上に横たわる彼女の裸体が持つ水平性(感覚)との関係の個別要因を考慮して、樹脂が流れた際に最もよく背面側半分が形成されるように調整を行うことである。

通常の生活であれば人の体は左右対称であるとされ、身に着けるほとんどのものがその論理から提供されている。衣服、靴、手袋、椅子、食器、便器、・・・・など。しかし生活のほとんどの時間帯において、眠る時でさえも人間は左右対称の姿勢をとってはいない。与えられる身に着けるものが左右対称であることで、個別の肉体の生活上の不均衡は左右対称という絶対的な基準に統治され、そのことでもたらされる制度上の秩序を人々は必要としている。我々の作業の要点は、こうした通常生活の身体の左右対称性の基準を超えた領域の問題である。人の裸体とは総体で左右対称を示しながら、具体的な組織として、微細な領域において、個別の非対称な不規則要素を複合的に形成するものでありながら、しかもそれは総体に対して反映するものであり、そこにまた異なる次元の一環性が存在する。そのような裸体というものが、与えられた絶対的な水平面に完全に横たわった場合、基準的な役割となる幾何学と裸体との現実的な接触において個別特有の状況(関係)が生じるのである。その調整次第で作業の精度に差が生じてくる。この調整は我々の眼と経験の判断で成されるしかないものである。

ゆっくりと台を一定の高さまで上げる。彼女の横たわる身体の水平を判断できる水平面を思念上で見出さなければならない。それに対して現実的な台の水平を対応させながら体のあらゆる部分の位置を調整する。位置といっても重視されるのは水平方向のそれではなく、台上に現れる高さの関係である。その調整とは身体の部分の移動ではなく、彼女が体にかける力の部分的な変化であり、その複合により台と裸体との間に生じる複雑な隙間、さらにそれより上層に形成される体の起伏の高さ関係を調整するのである。一定方向から光を与え通常では判断できない形態の特性を見抜きながら、彼女に体のどの箇所の力をどのくらい抜けばよいか指示を出していく。体全体に対するわずかのバランスの問題なので、彼女がイメージ的にそれを自主的に判断するように導くことができなければ失敗する。

「ああ、だいぶまとまってきたよ。」
「確かに楽になってきたみたいだわ。」
「もう少し右ひざが楽にならないだろうか。」
「こうかな?」
「そうそう。」
「だんだん眠くなる。」
「眠くなるぐらいでいいのだけど、本当に眠っちゃいけないよ。」
「そうよね。」

最も重要な調整が終わり、ゆっくりと樹脂が流されていく。丁度背面半分と最初に捉えた位置(水平面)で止める指示を出しこの過程は終了する。樹脂が正常に固まるまで数十分がかかるので、その間に彼女は睡眠をとることが許され、我々は裸体の表側の型を取る次の作業の準備まで休憩となる。

作業室を出ると他のクラスの外国語の授業が丁度終わったところに出くわし、「この言語は、あるいくつかの動詞だけ特別な変化をするのでそれらの単語ごとに個別の辞書を買わなければならないらしい」という会話を聞き、週末に始まる自分の同じ授業のために彼らと一緒に書店に向かうことにする。
posted by コマプ墨田 at 00:23| 断片小説

2009年07月04日

断片小説 JABROID フィルム

古い博物館の解体現場から構成映像らしきフィルムが偶然発見された。そのほんの断片だけの現像が成功し、一部の関係者を集め臨時の試写が行われた。「現像に成功したのは奇跡という他ない、フィルムへの損傷を考慮しただ一回だけの映写しかできない」との放送の後に館内が暗くなった。カタカタとぎこちなく震える光の四角形が中央に現れ、それよりも暗い空間に変化した後、一分足らずのその箇所が映し出され、映写は終了し館内が明るくなった。たった今映像が映し出された壁に向かったままの論議が始まった。

「彼らのまとっていた衣装は特別な儀式とは無関係に作られたものならば非常に奇妙である。」
「三人ほどが、分離できない一つの衣装をまとい、家の形を現す状態を見せるよう意味づけされた動きをとっている。」
「フィルムは特殊な方法で極めてグレーに近い柔和な色彩が施され、家を現す一連の行為を画面の主体として浮かび上がらせる効果を導いている。」

フィルムをもう一度確認することが許されなかったために、それぞれの意見が適正であるかという確認的論議は不可能であるとなり、それぞれの研究室が独自に可能と思われる比較検証を出し合い、次の会合に持ち寄るということでその夜は解散となった。


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研究室で「あの映像の文化的価値の解明に先立って、なぜ博物館の正規の場所にフィルムが管理されていなかったかの事実究明が必要だ」という私の主張が認められ、博物館のかつての運営状況に不可解な要因が見出せないか、私は当時の資料を管理する協会に足を運んだ。数日をかけて、通常の発掘品や美術工芸品の収集記録を除外し、特殊な購入品の入手ルートを見出すための基礎データをまとめた私は、それらいくつかの事例は限られた期間に或る一人の人物によって担われていたことを発見した。

「彼女は戦前ほんの数年だけ近代の収集を任せられていたようです。」

担当係官が出してきた記録簿にある彼女の資料はごく短いものだが、彼女が具体的に関わった他の収集プランの詳細が保管庫にあることが判明した。保管庫に向かい管理者にその旨を伝えると、確かに記録はあるが保管場所が特定できないと言う。「そんなことがあるのか」とつめよると、男は「自分は戦後直ぐからここの管理を任されており、通常のことは全て把握しているが、この件だけは理解しがたい 」と述べた後、「前任者の残した管理記録があるので調べよう」と申し出た。その結果、男にとっても未知だという地下階段の位置が示されたメモが見つかった。現在はこの協会の特別展示室になっている部屋に到着した男と私は、「このマンモスの剥製を動かさないとならない」との男の指示通りに作業をとげると、その床面に扉があり、開けると人がひとりやっと降りられる急な階段が見出される。

「酸素が無くなるといけないから必ずこの扉は開けておいてくれ」と言い残し階段を降りて行くと、数十段下で空間は若干広くなり螺旋階段に移行する。このような狭い空間に螺旋階段を用いればかえって危険ではないのかと疑問に思いながら手すりにしがみつき降りて行くが、やがて完全に垂直に降りるためにやむなくこの構造を選択したのだと理解する。これを降りきった場所は再び狭い垂直の経路になっており、真上から下がったワイヤーを握りながら壁を足で蹴って降りる設計になっている。このワイヤーを垂直に上から下ろすために中央箇所は螺旋階段に成っている事を理解し感心する。つたって降りていくと到着した床面とワイヤーは固く接続されており、私の体重に反応した床が下方に開く仕組みが作動したので、ゆっくりと降りて行くと、明るく広い室内の天井を降りていることに気づく。

室内は何らかの会議が行われている最中らしく、数名の学者が突然天井から降りてきた私に驚くが、ぶらさがったままの私の姿勢に危険を感じて助け、空いた座席に着かせる。会議は中断し議長から不当な侵入行為ととがめられ、やむなく前に出て弁解を行う。その結果一応の理解が得られる。

「君に悪意はないことは納得した、しかしこれは公開されない文化芸術上の特務会議なのだ、即刻立ち去ってもらいたい」と告げられ了承した私は、天井のハッチを再びこじ開け、数名の助力を得て潜り抜ける。「いいですか、下から閉めますよ」という声がしたので「はい」と返事をする。ワイヤーを伝って垂直に登るのは降りる行為の数倍の腕力を要する為、天井面から簡単に移動できないでいると、下の会議での会話が聞こえてくる。

「オリジナルフィルムの強化と複製版作成の目処は付きましたが、三ヶ月はかかります。」
「その後に具体検証が可能となるということか。三ヶ月は長いな。」
「いや、この期間に独自の主張をした数箇所の研究班が、それごとに独自調査を行っている。」
「そんなものは、フィルムの具体検証が可能になったら意味がなくなるだろう。」
「そうとも限りません。最初の直感が事を動かす場合はある。」
「その際に何か重要な発言はあったのかね?」
「フィルム内容ではなくフィルムがもたらされた経路を検証してる班があります。」
「なるほどそれは興味深い着眼だ。それは思いもよらなかった。ハハハ。」

自分一人をここに押し込んでおきながら悠長な会議を再開する学者らを半ば恨みながら、学生時代の山岳救助活動を思い出し何とか登っていく。てこずりはしたが螺旋階段の始まる位置まで到着し、これをよじ登りマンモスの剥製のある階の床にはい出ることに成功する。管理者に「該当する保管庫では無かった」と告げ、マンモスを開館時間までになんとか二人で元に戻す。意気投合した私と係官と管理者で朝食をともにする。係官によれば、地下構造は別の役所が一部管轄しているらしいので、こちらに連絡無く勝手な改造が成されてしまった可能性が考えられるという。この手の事態は省庁間の派閥問題が根底にある。

posted by コマプ墨田 at 15:17| 断片小説

2009年06月29日

断片小説JABROID 特殊嵐の夜明け

歴史的に特殊性が高い嵐が過ぎ去った丘陵地帯の駅で降りて、分解された自転車を組み立てた後、まだ湿った舗装道路の湾曲を登って行くと、深海魚に似たキラキラするものがあり危うく車輪に引っ掛けそうになる。振り返りよく見ると蛇の一種であることが分かる。道端を見渡すと既に何種類もの蛇の死骸がまとめられており、指定公園内の生物被害が報道以上に大きく、その処理と調査に監督官庁が迅速に着手したことが予想できた。「やはりこれはただの嵐ではあるまい。」と私は確信した。丘陵地帯の最も高い地点から同じ駅に向かう道を降りてくると様々な動物が弱った様子が環境に見て取れた。「これだけ多くの種類の哺乳類や爬虫類がここだけに住んでいるのか。」と深く感心する。ぐったり路面に横たわる何種類もの哺乳動物をよけながら狭い湾曲した道を降りていくので、登りよりも多少危険性が増える。「崖から落下でもしたら大変だ。おそらく自分もこの嵐で倒れた生命のひとつに過ぎないと報道されるだろう。大怪我をしてもこの動物たちと同じ資格で救助されることになる。」そう思い慎重になる。

坂を降りきると住宅地帯の途中に古くから営業している商業ビルがあり、その地下飲食街に向かうことにする。明け方急いで出てきたのでここで朝食をとろうと思ったのだ。地下まで自転車を引いていけるのはなんともありがたいことだと感心する。いくつか物色し喰いながら行く。一番奥まで行くと外に出れるのだと暗に思っていたが裏切られ、自転車だけは一方通行になってることが分かる。地上に上がる人々の流れから離れて、自転車専用と書かれた細い通路へ向かう。従業員の作業場に入り込んだので経路を誤ったかと思い確認すると、経路は間違っていないが、自転車なんかで地下に来るものはほとんどいないので、数十年前の建設当初のシステムは守られておらず、現在は業務用のエレベーターを用いて最地下階の搬入口から出ることになっている、と言う。いくつかの異なる作業ブースを通過して一基しかない業務エレベーターに乗ろうとすると内部が上の階で積みっぱなしに成ってるダンボールで埋まっている。少しづつずらして自転車と自分が入る隙間をなんとか確保する。非常にゆっくり降りていることは分かるが、停止が禁止される階を通過した表示が無いため搬入口が地下何階になるのか分からない。扉が開くと狭い一本通路になりこれを行くと従業員に呼び止められる。

「お客さん、ここは従業員専用のフロアですよ。」
「いえ自転車なのでこっちから出るように言われました。」
「あら、そう言われて本当に来てしまったの?
黙って一般の階段を上がったって黙認してるはずなのに。」
「しかし自転車専用という表示が・・・」
「あなた気が利きませんわね。まぁ仕方が無いわ。
規則どおりに所持品の調査をしますから荷物とポケットのもの全部出して。」

飲食街で買ったゲソ揚げとリンゴパイの残りが問題に成ったが、レシートを捨てずに持っていたことが幸いして通行許可が下りる。

「じゃぁ一番奥のゲートから出てくださいね。搬入車両に注意して。高速で入ってくることがあるから。飲食物のゴミはちゃんと分類して捨ててから出るようにね。」

車両を地下に導く都合から坂は緩い傾斜になってるようでかなりの距離を登ったのになかなか地上には出れない。やはり歩きの場合をも踏まえてか途中に小さな休憩所が設けられていて、そこで休んでいるとテレビから明け方の嵐についての報道が流れる。バリア型垂直気圧乱が発生していたと言う。缶コーヒーが従業員価格で30円なので何本か買っておこうかと思ったが、先の出口でまたチェックがあるかもしれないと思いやめる。残りの坂を登りきって地上に出ると日が傾きかけている。

今度は地上商店街が駅に向かって続いており、予定したメンバーとの合流地点からさほど遠くない居酒屋に入りしばらくすると、二人が店の前を通り過ぎるところを見とめる。嵐の調査のことは二人には伏せてごく一般的な話題で盛り上がる。離れた席でアメリカ人がやはり今回の特殊な嵐について議論してるので、こんなに迅速に海外からも調査が入ったのかと驚き話しかけてみると、彼らの調査はこの地域に伝わる伝統音楽の特殊な拍子についてであることが分かりがっかりする。しかし、外国人がここまで日本文化を研究してるのかと思いなおして、彼らの誤認識箇所について話すが英語がうまく使えず伝わらないので、実際に手で「ンッタータッタン、ッッタ、ッッタタン」と拍子を打ち、身振りで伝える。すると男は「それは違う気がしますよ、ンッタッタターン、になるのが本当でしょ」という。そうか欧米人同士だから英語で話していただけだったのだと改めて気づき、今度は日本語で詳しく説明する。どうも実際に彼らには同じ拍子を聴いても、ンッタッタターン 、タッ、タタン、とつまって聴こえるらしい。
posted by コマプ墨田 at 15:05| 断片小説

2009年06月22日

断片小説JABROID 夕日と伝説怪獣

一つの丸い山を越えた地域の庁舎に入る。予定された順番までに窓口は受け付けないと言うのでいくらかの時間を持て余すことが分かり、庁舎の上層階を探索することにした。

何回か階段をあがったらそこは宿舎の階になっていた。多少の住民が行き交っている。怪しまれないようにこちらから挨拶をすべきと思い、すれ違うごとに軽い会釈をするが大概の住民は無愛想である。各世帯の表札は数種類の色で分類でき、そのことから私はすぐさまそれは、表記された番地と世帯主名の関係式を基にし、一般の学生が行う単純な学習技法に順じ、この地域が共有する言語活動を引き入れるという独特な文化的側面を含むことを理解した。「なるほど実にうまいこと考えられている」と感心した私は、ならば総体を統括する単純なコード表がどこかにあるはずだと辺りを見回す。ゴミ出しはG47からは停止されています、交換したフレームが適切ではないので閉鎖される場所があります、段差の違う階段を平行して設置する議会案に関する集会、などという掲示の下にやはりそれはあったが、誰も読まないまま数十年張られたままであるを思わせる焼けた古色を示しており、私は薄れたインクをたどって内容を覚えた。

濃緑色の表札を見つけ解読しながら行く。「Yashimanada-9-6-23-9 .....対応すべきいくつか」「Sonoinuma-2145-wh2.....関わる要素」 「Kamaishita-02-9-3-643.....季節ごとの」 とたどって行く内にかなり複雑に枝分けれした通路に迷い込んでしまった。最早同じ経路で庁舎階まで戻れないことに気づいた私は、急に冷静な判断が戻り、すれ違いつつある老人から抜け出るための情報を聞き出そうと意を決め話しかけた。「こんにちは、猫を探してたのですが普段はこちらにはこないもので主階段の方角を見失ったのです。」 「ほう、階段を見失うなどは日常茶飯事でしょうが、はてさて猫とは奇怪ですなぁ。」 しまったという私の表情を読み取った老人は「心配なされるな。庁舎御用の方がこの階に紛れ探索されることはよくあることじゃ、誰も怪しくは思いませぬてハッハッハッ。」と延べ、一度上の階に行き直通の外階段を利用すべきことを教えてくれた。 「ご老人かたじけ御座いません。」「窓口に間に合えばよいがの。気をつけて行きなされや。」

教えられた経路で一つ上の階に上がったところ、そこはいくつかの古い商店街を移動させて作為的に形成させた商業地域が主である階であった。商店主らは各階の総合区画整理の犠牲になったに違いないと呟き歩みを進めると、とりわけ古い製品を集めた陳列棚が通路に向けて設置されている場所に出た。破れた灯篭、錆びた飴の缶、ボールペンのキャップが詰まった袋、半透明の棒の束、口が前後に二つある急須、などがびっしりと並べてある。一番端に紺色と赤茶色の怪獣の人形が二個並んであり、紺は有名な火星怪獣の頭に一本の角を付け、赤茶は伝説怪獣をその火星怪獣のポーズに変形させた古い時代の模倣品であることが分かった。珍しいので赤茶を手にとりしげしげと見ていると、中から店主が出てきた。「いらっしゃい。」そう言いながらも男は不機嫌そうであった。買うつもりなどなかったが「これはいくらぐらいするものですかね?」と 挨拶代わりに尋ねると、店主はあざ笑う表情を隠すことなく「250万円になりますな」と答えた。確かにマニアとはそんなもんだろうと、驚くことも無かった私は店主に模倣品の伝説怪獣を手渡し、怪獣を棚に戻す店主の目を盗み断りも無く店の中を通過して外階段に出る。日が暮れかかっているので窓口には間に合わないかもしれない。
posted by コマプ墨田 at 13:58| 断片小説

2009年06月18日

断片小説JABROID 事故原因

水平移動の訓練が開始される前に臨時の監督官である私はその日の学生数十名を前に「諸君の内で何か不備を抱える者はおらぬか、先立って述べよ」と告げる。すると本日から訓練に加わった海外留学生が辛い表情で何か述べているのが聞こえた。「もっとはっきり述べよ」と強く言うと彼女は悲しげにまたボソボソ言っていたが、隣の学生が「監督、この者は自国で主席にて我国への留学を命じられたとはいえ昨夜到着したばかりであり、なにしろまだ我国の言語になじんでおらない事情があるのです」と言う。「そうであるか、それはすまなかった、では隣の者、彼女が何に問題を抱えてるのか聞き出すことを成せ」と命じると、男子学生が言うには「ナターシャ女史は”スラストーニク"が見当たらない」と述べていると言い、スラストーニクとは何かと聞いても説明が通じない状況だという。

「よし仕方がない、皆でスラストーニクの意味を全辞書の中から発見する作業にかかる、持ち時間は15分以内だ」との私の指示により、学生らは可能性のあるその語句の意味をいくつかリストしてきたので、それに基づき「君の述べる不備とはこのようなことか」と可能性のある三種類の問いを発したところ、その内の唯一つに対して彼女は涙ぐみ返答をしたのである。同時にスラストーニクが何を意味するのかが明確と成る。

この結果を受けて私はある恐るべき事態の本質について考えが及び滝林教授の研究室に足を運ぶ。「先日の接触崩壊事故の原因はスラストーニクに関係して発生したことが分かったよ」と私は告げる。「まさか、そんな稀な事態が起こる天候だと思えないが、まずガガル201に確認してみよう」と彼は受話器をとる。ガガル側はあり得ないと言っている様子がやりとりから聞き取れる。電話を切った教授が肩を落として「ガガルでは絶対に認められない論理だと結論付けた」と言う。私は「そうではないのだ、スラストーニクという語が新しくもたらされたのだよ、それさえガガルに伝われば彼らを納得させることは可能なのだ」と訴える。「その語は何からもたらされたのか教えてくれ、それが鍵だ」と教授が述べる。私はもう一度訓練所にもどりナターシャを囲み数人の学生と協議を重ねるが、ナターシャとの言語による交流は非常に困難であることに苦しむ。
posted by コマプ墨田 at 14:25| 断片小説

断片小説JABROID 演奏の日

奇特な知人がこうして合奏会の演舞台の一員として呼んでくれた。古い木造校舎を借りた自由表現形式の合奏である。楽団員は改造ギターの私と隣に立っている三味線奏者と校長が説話する重そうな机の後ろでこの二人の紹介をしている主催者である知人だ。さて彼は何の楽器を使うのであったろうか。それは始まれば分かることであり今深く考える必要など無い。

改造ギターといっても、持ち運びが面倒なのでなるべく竿と同じ幅になるように胴体の両側部を切り落としただけのことだが、思ったよりこの作業は難しい。非常に木が硬く安い鋸で真っ直ぐに切るには距離が長いのだ。私は右手にその竿部分を握って演舞台の端に立っていたが、さて準備に取り掛かろうと思うと、アンプリファイヤーに接続するための電線を持ってこなかったことに気づいた。それを三味線奏者に話すと「そもそもここにアンプリファイヤーというものが無い」という。はたして本当にそうかと思い、ぎしぎしいう渡り廊下を通って職委員室に行き女性教師に聞くとあると言う。一度もどり言われた場所を見ると不可解な学習のための装置が詰まれた下に黒塗りのそれが埋もれている。「これは大正時代輸入された朝礼用の専用機だ」との古い知識が蘇る。職員室に戻り教師らに礼を告げると、見るところ主任らしき教師が「既に誰も使う者もいないのだから自由にお使いください」という。「だが線が無い」と三味線奏者に愚痴をこぼしたら、そんなものは商店街の電気屋でいくらでも売っているという。

一本道なので誤ることはないと歩いていた為一旦通り過ぎて戻って入店する。店員に指示された場所に行くがどれがそれかよく分からない。「通常は接続部品とコードを客の必要に応じて技師でもある自分が結線し販売する制度で、ゆえに必要な分を客がここに持ってくるべきなのだ」と告げられる。この改造ギターとアンプリファイヤーを繋ぐというと黙って作業にかかる。注文より線が長すぎると思ったが長い分には不自由は無いから黙っている。商品を受け取り料金を払い店をでて歩いていると、線の一方の端に通常の家電に電気を供給する為のタップが付いていることに気づく。戻って店主に苦情を言う。店主はすまなさそうにはしながら「この場合、息子をあまり責めないで欲しい、どの店でも同じような水準なのだ、国の規格があまりにも複雑すぎるのだ、これだけ安い商品なのに時間をかけて電線を切り部品を接続しなければならないのだ、多少の間違いはむしろ町内では同情の種なのだ」と説明しながら適正な状態に戻す作業を行っている。今度は過程をじっくり見ているとやはり別の部品を取り付けようとしているので間違いを指摘すると言い訳もせず正しい部品に持ち替える。店を出て夕方の商店街をゆっくり歩いているとなんともさわやかな気分である。
posted by コマプ墨田 at 13:26| 断片小説

2009年06月09日

断片小説 続 惑星工作部隊ZANGAIN バンカの夏 場面dmzq2091

姉の行方

「無数と思うだけの盤面に映し出される無数の唇の形の内一つの上唇と下唇の間に自分の髪の毛の一億分の一の隙間を認め視線が通過するイメージを描きなさい。所要時間3時間、表現方法は自由である。それが終わったらくじ引きで選ばれた三分の二が二次試験に参加する。思いっきり頭上に放り投げた正20面体が真っ直ぐ落下し自分の頭を直撃するまでの過程を美しく表現せよ。所要時間5分。それが終わったらトーナメントと対話形式を複合した新手法で2人が選ばれ最終課題が成される。以上、現場到着前の諸注意を終わる。」
「鉛筆ケース忘れてきたんだけど。」
「通常その時点で失格なんだが、正直に届け出たから貸し出される。」
「到着したら直ぐに作業開始になる。画板は規程枚数しかないので先着順となる。提出時間に間に合えば半径10km圏内のどこで作業してもよい。去年は崖から落ちたものが居るので注意すること。」
「・・・・唇と眼球の区別がつかないので合格。唇を赤く表現したので不合格。唇の意味が伝わらないので差し戻し追試験。複数の唇を繋げて一つと見せたので失格。唇を描かず隙間だけを表現したので合格。隙間が唇なので合格。立体感を無視したので合格。唇がリアルなので不合格。無関係なイメージを盛り込んだので不合格。・・・・」
「3時間の内2時間半は風向きのことの問題が主だったわりに合格か。まオレくじ運強いもんな。」
「刑事じゃ私は海岸で待ってるからがんばってね。」
「ああ君の分もがんばるから。」
「それでは選抜班はボートに乗り込むように。時間が無いから急いで。」
「スクリューにマカマカン海蛇が絡んで破損。当船舶はメリー海峡付近で消息を絶ってる模様。」
「流されてるな。」
ザップウゥ〜ン、ザップウゥゥ〜〜ン
「刑事たち帰ってこない。」
「8時のニュースです。先ほどミミリ半島沖で・・・」
ザップ〜ン
「心配ない。第二スクリューと簡易的ではあるが潜水機能が付属している。閉めるから全員頭を引っ込めろ。」
「たぶん首痛くなるな。」
「全員ペダルこげ。自家発電だ。」
「中途半端な潜水だな。」
「だから簡易的と言ったろ。」
「海峡は抜けた。」
「順調に行けば夜明け頃にヤンヤン季節漁船団の航路に接近する。そこで浮上する。」
「熱帯だから海中でもあったかい。」
「ああ見たことある水中植物が浮いてる。海蛇の産卵期なんだな。」
「岬の高台に神社があるね。明かりがついてる。」
「海底を照らすと反射が強烈だ。さすが金属湾と呼ばれるだけの事はある。」
「監督、疲れたから10分休憩たのんます。」
「いかんなぁ、虹色三角イカの群れの移動に引っかかってる。刺激すると光りだしてまぶしいから停止。」
「オッケー、ちょうどいい。」
ユラユラユラ〜
「でもこいつらやっぱ微妙に光るね。海底で乱反射が起こってくらくらしてきた。イカ酔いつうべき?」
「こいつらは月の光の移動に合わせて動いてるはずだから丁度いい。目的方向だ。」
「ありがてぇ。」
ユラリ、ユラリ、ユラ〜
「眠むぅぅぅ〜、ぐご〜
ユラ〜リ、ユラ〜リ、
ユラ〜リ、クラ〜リ、ユラ〜リ、クラ〜リ
グゴ〜、グゴ〜
「ジョビー刑事さんは熟睡ですわね。」
「うらやましいですよ。」
「地形の仕組みについては姉が専門なんです。この書庫の資料は全部姉の研究資料ですわ。」
「お姉さんは?」
「ええ二ヶ月前に重大な発見だと言って委員会の許可も得ず深層部調査に出たままなんです。でも心配ないわ。いつもそんな感じで何ヶ月も帰ってこないから。」
posted by コマプ墨田 at 18:58| 断片小説

2009年06月08日

断片小説 続 惑星工作部隊ZANGAIN バンカの夏 場面oin43ds

古代の地図

赤い鉄塔の真下の第二水平面で透明の鉄塔模型を購入し内部の水を皿にあけるとレンズのように底面の魚群模様が拡大し球面鏡できらめき揺れているのでそれらが生きていたクコマタンパライド第二海流を思う。第五段からLSMN43に至る百万以下の交わる可能性。ぷらぷらと揺れて水が飲み干された後に停止しまた表面となる。ガラス製造の特殊機材が使われないまま百年放置されるかもしれない。 何十個もの小さな地形の偽装標本。鋼鉄のように眠っている湾曲。拾い集め不足分を補い空想される一個が無数に一列になる。四本の腕の青く巨大な存在者のよくできた模型の位置に悩み決意が先に見送られる。三箇所で折れ曲がるアーム機能で削り取られた路面を送り出す。
グゴガ〜、ズズズ、グゴォ〜
「手描きの地図のようだ。あの遺跡の調査資料だろうか?
ここまで丁寧に描かれてると芸術品と言う他ないな。」

マグンチェク-アラ 壁が崩壊する末端 最も高い膨らみに向かう小道
パリラハラリ収容 窓という名の丘 帰る者を送るべき場所
特別な道の始まり 来る者を待つ屋根 器の終わる領域 

「しかし中心が想定されていることで現れる完全な地形で在りながら、
中心領域だけ形が一切描かれていない。」

グゴォ〜、グゴォ〜〜「こら、ぉお、てめえら速度落せ、フガフガ、グゴ〜

「青い三月5126年ということは700年以上の骨董品ということか。」
ギコギ〜
「あらまだ起きてらしたの?」
「相棒は熟睡ですけどね。」
「リルムさん、これはあの遺跡の地図ですね?」
「いえまた別のものでまだ発掘されてない遺構よ。
おそらくもっとずっと深い場所にある。規模もずっと大きい。」
「700年前の人は場所を知っていたんですね?」
「どうでしょう。もっとずっと古い時代からの言い伝えを
その時代に図面化した人がいたということも考えられますでしょ?」
「でも実際にあるということは確かですよね。」
「もちろん私たちはその前提ですわ。
でも彼らにはあってもなくても同じかもしれない。
だからないのかもしれない。」
「彼ら?」
「その構造の全てを知ってた古代の人たち。」
「調査はしてるわけでしょ?」
「ええ、記録では300年ほど前から続いてます。
でも可能性のある場所がこれまでイクトが到達できた深さより
もっと下という事実しか得られてないのね。」
posted by コマプ墨田 at 23:08| 断片小説

2009年06月07日

断片小説 続 惑星工作部隊ZANGAIN バンカの夏 場面ig45jds

地層と器

賭博の応用で分析が進む。瞬間停止する花火の特許。チキカミナ-21伝達機能のバグによる崩壊。到達地点で隋道が90度ズレている場合の補修方法。押し忘れた空調装置による温度被害を防ぐ。突発的移動時に看板を積んだ船。三日月形の反射板を額につけて入場する。縦縞によって見下ろされる鉄路。放射構造を意図しない鑑賞方法。破壊という名の二段反射球。乱舞する赤い階層を並記し浮遊させる時間帯。水平位置をいずれに設定するかで地下階層の番号表を変える必要がある。不要な順に連絡される。相互交通の不平等解消のための政策。希望する通りに返答される際に生じる多少の混乱。

「サブリナさんは私の部屋でいいけど、お二人は地下の書庫で寝て頂くしかないわね。」「そこ換気悪そうですね。」
「もう贅沢言わないの。」「ごめんなさいね。」
カツン、カツン、カツン、カツ、ギコギ〜。
「あらリルムさんの部屋って案外斬新。」
「アルフェアス工科芸術大学の友達の設計よ。」
「この写真は?」「それは私の研究。私は考古保存修復学部なの。」
「器の工房かしら?」
「そうね。あなた達が不法侵入したチュクチカイLF7のもう一層上にある工房の写真。」
「あら、この最後の写真はみんなで器を割ってるわ? まだ新しいのに?」
「作って割るまでが彼女たちの仕事よ。」
「どうして? せっかく作ったのに?」
「器の断片もまた器でしょ。内側への曲面が失われることはけして無い。小さなひとつの器を砕いてその集積により総体の一つの器を構成するの。」
「一つの器?」
「そう、あら、あなたたちはそれを見に行って父に捕まったのじゃないの? イクトの規程に従わないで遺跡に踏み入る勝手な探検家が最近多いわ。」
「知らずに紛れ込んじゃっただけなのよ。古代鉄道だってレボリダに無理やり連れて来られたのよね。」
「あらレボリダの関係の方?」
「ちょっと複雑なんです。」
カッタン、ギィギィ。
「くそ、むちゃ重い扉。」「ジロー、逆じゃねぇの?」
ギィー
「開いた。」
「何だ、書庫っつってたけど、本はいいとして、この気色悪りぃ彫刻どうするよ。”擬人化された断層その27”ってどっかにあと26個もあるんか!どかしていいよな。」
「あ〜ここで寝るのか。」
古代隋道設計の論理全2巻 回廊と連絡鉄塔複合構造 放射状湾曲垂直架橋法 無振動ドリルの導入の勧め 周縁と外部連絡の技法 
「工学系かよ?あのおっさんは。」
「刑事、これなんだろ?」
「土の塊じゃねぇの? うわデカっ天井ギリですよ。」
「凄い積層になってるね。地層かな。延々と土器の破片で固めてる。古い領域は貝殻が混じってる。」
「ジロー、もう寝ようよ。」
posted by コマプ墨田 at 22:32| 断片小説

2009年06月03日

断片小説 続 惑星工作部隊ZANGAIN バンカの夏 場面r45jwe2

地下部族イクト

湾曲した側面の階段を駆け下りる。緩やかな坂を一緒に移動する。キラブ色の伝言板が百万分割されて文字列が形成される。地下に入って二層に収納される五万台のそれが潰れる。映ったガラス窓に映るガラス板に二等分して映り込む花の形態のライトが消える。家屋の修理方法が巻紙に記される。困りごとが起こったという隠語。持ち込まれる多面的な協議がともにその校舎内の調査を一斉に始めたと記される。共同謀議により通告され一部認知されるために複数の判断が許され喧嘩が起こる。密貿易で破産した集団が摘発されたとの速報を告げる通達装置を破壊。5分以内に到着しないと科せられる罰金の減額を要求し罵声を浴びる。終えられた本日の抗議の後に流れるつまらない楽曲。そういう落書きをいちいちメモしながら行く。

カッターン、カターーーン、カタン、カタン、
「あら少し早くなってない?」「だな。」
「国際停止指示信号を鳴らしてみようか。」
ピピ、ピピ、ピー、ピーピピ〜〜〜
「こらお前ら!」「あ聞こえた?」
「バカタレ取締りだ、全員乗れ。」「ゲゲっ。」
カッタン、カッタン、カッタン、カターンカターンカターン、
「もうちょっと走らんのか?」「遺跡保護の為の速度制限だ。」
「レボリダは突っ走ってたぞ。」
「あの非合法組織の女どもか?やり放題やりやがって。いつかとっ捕まえてやる。」「一緒じゃないの?」
「ワシらはタシュラムイクト地下部族伝統文化保存地区での自治を政府から認められた民族じゃ、たわけ。古代鉄道の利用を認められてるのはワシらだけだ。」
「だってレボリダがさ。」
「言い訳は長老会で言え。古代遺構中核部の保護はイクト族の責務だ。」
「つうことはオレたちどうなんのかな?」
「国際地下遺構保護法に則って裁判だ。」
「うわ。」カタンカタンカタンカタン・・・・・・・

「おお班長帰ったか。」「こいつらでした。」
「やっかいかけんなよ。」
「長老会はワンジャム温泉に行ってるので明日夜まで集まれんからとりあえず班長のとこで留置と連絡あった。」
「ええ〜ワシん家ですかぁ。」

ギコー、バタン。
「帰ったぞ。」「あらお父さまお客さん?」
「客ではないわ、犯罪者だ。」
posted by コマプ墨田 at 21:32| 断片小説

2009年05月30日

断片小説 「続 惑星工作部隊ZANGAIN バンカの夏」場面r4iuu6

中心と周縁

何らかの変換装置を4個づつ組み合わせた橙色の不規則十二面体が崖っぷちに16個のセットで論理的に放置されている。不規則性の集積の結果ある種の規則が見出されるような雰囲気のする演舞場の遺構。何か、或いは何をかもを妨げることを目的とするのか、或いはその逆であると言いたくなるゲートが見出される。せめていくらかの彼の地の砂塵をポケットに持ち帰り思い出の魚群装置の片隅に盛土のように構築出来まいか。僅かの坂を高速で登る。顔をあげると全く同じ光景が繰り返されたので時間が止まったことと同じ気持ちになる。不可解な回転構造に関わる湾曲の連鎖なのだ。

「ずいぶん登ったのにあの中心の広場に近づけないな。階段はあそこに向かってるように見えるのに。」
「登る時は中心に向かってるように感じ、その後気付かないくらいゆっくりと降りになる時私たちははぐらかされてる。」
「そういう設計なんだろうね。」
「あそこに到着されるのがそんなにいやならどんどん遠くへ行くように造くりぁいいやん。ったく。」
「到着しなくても見えてるのだから別にいいとも言えるんだが?」
「要はあきらめの理屈だわな。」
「気付いたよ。降りでゆっくり回転して離れるので眼が中心を追うのをやめてんだ。逆にその時見続けると構造が理解できるようだ。」
「私それ気付いてたから見てたの。放射状にあったものを何かが崩壊させた跡よね。」
「さすがサブリナは冷静だなぁ。」
「刑事は気付かなかったの?」
「降りは楽だから眠くなんだよね。」
「中心部分の中心がイメージできるぐらいにはここは近いわ。」
「どうせ着かないんだから意味無いぜよ。いい加減戻って地上への出口を探すべき。」
「ちょっとの間に急に現実的になってる。」
「でもあの設備ってレボリダと関係あんのかな?」
「まぁな。やつらも地上にでっかい円でも描くように場所とってるけどな。」
「たぶんあそこでもう一回降りたら外周に向かって中心から離れることになる。」
「じゃそうしようや。」
「刑事って探究心ゼロね。」
「あやっぱり地下鉄道に出るじゃん。見えてきた。」
「列車が来てる。ほら音がするもん。ゆっくりだけど。」
カッ タッ コォ〜〜〜ン カツッ タ コ〜ン
「トホホ、前のよりボロだな。間違いねぇーす。」

posted by コマプ墨田 at 23:02| 断片小説

2008年07月26日

極東冷凍怪獣ツドラの怪獣

先月に高円寺書林で展示した「極東冷凍怪獣ツドラ」の造形物というか怪獣の人形ですが、知人のデザイナーにちゃんと撮ってもらったので載っけておこうかなと。


湖底怪獣バラガニ
「極東冷凍怪獣ツドラ」執筆中最初に造型した怪獣で御座います。ストーリーでは記者西田が旧日本軍の科学者組織カササギの資料を求め、美貌の女助手に導かれ湖底に潜った時に、二人の下を通過するだけの役割。

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隕石ロボット怪獣黒月(国際名Kalamoon)
ストーリーで最初に首都東京を襲うロボット怪獣。旧日本軍科学部隊カササギが造ったロボットで、この残骸の分析からストーリーは動き出す。敵を宇宙侵略者と設定する国際共同防衛組織が結成され、その際Kalamoonという国際名が付された模様。だが他の怪獣に別名はない。
kalamoon3.jpg

鉄塔電波怪獣ギャングラー
西田が中国南部山岳地帯で泊まった尖塔が実はギャングラーだったような感じ。これまたただそれだけの役割の模様。(しかもストーリーにその指摘すらない。)
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泥流怪獣メコンガー
その尖塔のてっぺんの部屋で西田が酒に酔って見た夢に現れる。メコン河を北に遡る伝説の怪獣。
meconga3.jpg

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」(コマプ墨田執筆途中)
http://jam.velvet.jp/tsudora.html

posted by コマプ墨田 at 22:52| 断片小説

2008年01月17日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-vfr642

芸術による記録

100号の油彩画が食堂の壁にかかっていることに気付く西田。
「日本海溝に潜り移動するフラットホエール特殊潜水艇による救出計画・オクトパラウンジ移動式海底要塞での長期潜伏計画・海洋微生物を分解し食材を合成する技術・海底ジェット流の位置把握とそれを利用した発電・艦艇停止時のスクリューを水流で逆転させタービンを回す」というあまりに長いタイトルのプレートが絵の真下に張られてある。
posted by コマプ墨田 at 00:14| 断片小説

2008年01月09日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-enu049

幻の作戦

暗号のような会話が左の座席で起こる。数種の演目は脳髄の中央で義太夫のような節回しとなって継続する。天空を模した天井。円筒の一部が切り取られはめ込まれ煙幕のような雲が描かれている一室。皿の上に紙筒が三本、スプーンの上に僅かに残った飲料が固まりかけるほどの乾燥。目線を水面ぎりぎりに持っていくと扁平な高速艇が無音で近づき、大柄な一人の男がこちらに乗り込むのが見えた。

「河をさかのぼってチベットに向かう連絡班だ。」
「ふ〜ん。ところでコック長、いくら中国来てるからって餃子とラーメン以外何か作れないの?」
「贅沢いいなさんな、これでも客人扱いでいいもの食わしてんだから。」

砕かれた赤い破片が湯飲みの底に沈殿する。不等辺多角形の音響装置が奥のテーブルに置かれている。

「そうよなぁ。軍は結局行った先の物資補給など、はなから考えてなかったんじゃないのかねぇ? 俺たちゃ何の戦線かもろくに知らずに着いた島でただ飢えと戦っただけだ。軍は思うように行かなければ玉砕命令出してその作戦は終わりという頭だったんだろうな。しかし、軍の方針と関係なくなんで動けたのか未だに分からんけんど、当時のカササギはずいぶん島々を回って見捨てられた部隊を救出したんだよ。お国じゃ俺たちはみんな玉砕したことになってるだろうなぁ。」

「ええっ? じゃ南方で生き残ってる部隊がけっこうあるんですか?」
「そうさなぁ、何万かの・・・・」
「コック長。いくら西田さんとはいえ、それ以上はお伝えできない。」
「あ、田島先生。すいません、つい口が緩みました。」
「田島先生?」
「はじめまして。あなたが西田さんですか。田島で御座います。かねてより滝野川先生からお話は聞かせて頂いております。」
「今の話ですと、カササギは軍の玉砕命令を無視して救援作戦を行っていたと? では今のカササギは万単位の兵力を持つ部隊という事ですか?」
「申し訳ありませんが、それにはお答えできません。」

スパイラル型の葉巻をくわえる少年の絵が扉の裏に張られてある。
夕食のための蛸とほうれん草がひとつの皿にのせられる。
posted by コマプ墨田 at 23:18| 断片小説

2008年01月05日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-fdj367

豪雪市街地潜伏

水平方向に強化された硝子格子の高みを見上げると日光が差し込むと同じ位置に人工光源が掲げられている。三角エイの標本を封じ込める道具。連絡橋の近辺に構築された展望三角海上家屋。凍りついた地べたに靴底が水平に接するように歩く技術によって身の安全が保たれる。生涯にただの一曲を極めるために行う音楽の修行があることを知る。三日月をゆらゆらと映す海面以外のもの。右に飾られる黒い拳。多くの食品を運び通過する経路が加速するまでの扉。垂直に浮かぶ受話器の真横に男女が並び喫煙が禁止されている箇所。両手をかざして通過する動作により扉が開き男が水道を利用する。常に揺れている環境ごと移動している。廃業したおもちゃ屋の扉にもたれかかる世界ウルトラゲームの色あせたボックスの表面で男が笑っているのが見えた。少女のための細長いドール。小石をゴムで飛ばす危険な遊具。規則的にしか曲がらない蛇。六角形に組まれた椅子の一個を引き抜いて座ると三角形なので不安定であるという法則。偏頭痛の始まりの音のような電波。カカトとツマサキをいくつかに分断する湾曲線で構成される靴。見せ掛けのハンペン。市外再開発でそっくり道の反対に移動した市場に潜入する。金物を売る店の隣で回り灯籠を応用した人物彫刻の制作が行われている。その地点を過ぎると簡易的なランニング運動マシンが2台並び、用するにはいくらかかかるのか疑問を抱く。ゆるい冬の午後の日光が入ってきてる箇所に出口がある。
posted by コマプ墨田 at 22:48| 断片小説

2008年01月01日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-pog078

滝野川博士の横顔

「我々の部署は軍中枢と直接話ができる主流の位置にはなかったのです。それが幸いして現実的な軍の方針と無関係にずいぶん自由な研究ができた。だが、軍中枢に直接つながる権威ある部署にはそれが許されなかった。彼らの中にも多くの優秀な人材がいたにも関わらず、軍中枢の意向に常に見合ったにわか作りの開発しか許されない事情があったのです。」

「彼らのもとにはドイツから新しいテクノロジーの情報があったはずです。しかしその要までを他国に明かす訳は無い。軍中枢にはその可能性の本質領域を補い理解する直観力などは無かった。ドイツのA型兵器は、たとえ兵器であってもその理念の最基層には未知の創作への夢があったのです。テクノロジーというのはそういうものです。」

「いいですか、西田さん!
ドイツのロケット弾は敵地を攻撃する殺戮の兵器だとは言っても、少なくても自国兵を危険に晒さぬがために開発されたという側面だけは忘れてはなりません。ところが当時の軍中枢は、得るべき成果に見合うテクノロジーが欠如していた。そのため人命がそれを補うという最悪の手立てしか見い出せなかったのです。あの時点でドイツの研究とは無関係に、我々の部署は独自でロケットエンジンの自動制御機能には目処をつけていました。むしろ自立歩行制御の方が何倍も難しい技術なのです。」

「ただ我々には軍中枢の判断を動かすだけの政治的能力が欠けていた・・・。」

「・・・・・・・。」
「部隊長、先ほどから西田さんはすっかり寝入っておられます。」
「ははは、あの距離を半日飛び続けましたからね。毛布でもかけておやりなさい。」
「グゥゴ〜〜」
posted by コマプ墨田 at 20:43| 断片小説

2007年12月30日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-fgd311

スキリザナハムンバ尖塔観測展示室での再会

円盤を二枚平行につなぎ回転構造を与えた器具に100キロメートルの電力線を巻きつける構造の正確な表記。全ては盤面上で空間構成され試される。垂直の上に水平を積んで陰影をつけて拡張しなさいという問題に取り組む。鎖を複雑に構成して色を塗る。美しく狂気的なデッサンの主体に近づく。同時に男性的な操作の鉛筆の線の繰り返しが固定されたもの。わんこそばのようにコーヒーがどんどん注がれる。メタリックに一種映る飲料のパッケージに立ち止まり15円支払った。もうこれでいいということがないので何万枚ものデッサンがやりっぱなしで積み重なるという現実。かさばるのでやがて捨てる必要が生じる。さまざまな錯乱のような記憶を経過してまぶたを開ける。高い天井でゆっくり回転するファンがおそらく五枚羽だと予測するもののどうしても正確に数えられない。

「いつもどこかの博物館でお会いしますね。」
「あ、滝野川先生!どうして?」
「いえ、実は下関であなたを見かけましたもので密かにご一緒させて頂いていたのです。」
「なるほど、あのアーム機能付の運搬船はカササギのものだったんですね。」
「ははは、西田さん、あなた移動中眠っていました。あれは高速深海艇です。」

枯葉と牛骨が創造的にあしらわれてまっすぐに掲げられる。ヴァンナンビチャラハラナミンだったか解読できない名前を書き記して出ていく。電柱が何本かへし折られている。逆さに滑って転ぶ儀式を横目で見る。スパイラルに開花する半透明の花を描くのに難儀する。塊のようになり重々しい鎖に変換して桃色に塗って水面に浮かべる。記述作業中に飲料を注ぐかどうか聞かれてイメージが切り替わる。二組の縦横に並んだ協議を同時に傍受する能力。縦長の裸電球の羅列。再来する日中のイメージに戻る。

「この山脈の隙間を抜けて100キロ程度北上すれば長江との結節点に着きます。そこで我々の高速艇が待っています。」
「一緒に来いという話ですか?」
「おそらくあなたは私にいくつか確認したいことが事がおありでしょう。」
ブォン、ボボボ、ブォボボー
「さ西田さんしっかりつかまってなさい。垂直上昇後すぐに水平飛行になる。落ちないように。」
「ひぇ〜(泣」

posted by コマプ墨田 at 23:34| 断片小説

2007年12月24日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-pds109

キュパソラン村営航空資料館

上空で切り離しをスムースに行うために特殊ギミックが考案されたという証拠。その日が晴れていたという証拠。機体が地表で予期せぬスピンを行い飛行士が負傷したという証拠。黄色い首輪を鳥のように飾る必要。真夜中に高く掲げられた時先端のガラス窓から覗くことができる僅かな室内がある。地面が田園で区切られる。開くことができない構造の完全な唇。舌の位置に直方体が安置されている。芝居小屋に隠された未完成の約四分の一。白く包まれた総体の隣に裸のテントが並び左隅が黒く三角に覆われた垂直面の二万六千枚ほどのムラサキアクリルの直方体が薄く積まれる窓のような壁。縞々の縦長の状態にある壁。

明確な意図が掴めないまま去るのはもどかしいが、列車がくるまでの時間しかなという思いで扉を閉める。ギギガガッ、ギィーコォー。自動拝観料徴収装置に五円玉を十四個乗せ釣り合いが取れたので次の扉が開く。裸電球一個点灯させるのにさらに五円かかる。

暗がりから浮かび上がるひどく鋭角な種類の表面をはずすとギザギザの構造で充満している。☆印が共通しているのに敵対している事の謎。放射状のスカートが四つに割れ燃えながら落下する。帰還する事が行く事より難しいという認識。塗られている黒いラインが非対称だという事が正面からだけ分かるデザインの前でゴルフをする男の謎。ほぼエイと言ってもいい形状の影。野ざらしの研究成果の残骸。三分の一ほどで霞をかける空。卵を改造した翼のない機体で飛ぶために地平線手前に並ぶ。四角い穴の開いた影法師に遠近法が掛かりいつのまにか正体が捉えられる。アルミボディが流線型に輝く時は美しく、近くで見るとくすんで映る。先端のアンテナを尖らせる技術者の養成があったという証拠。牽引操作に依存しながらひらりと浮き上がりやっとの事で安定し始める。赤い細い輪郭の三角形に車輪がついている。単純な正方形が菱形に変形させられ空間の拡張作用が起こっている。 よく似た機体が並ぶ湖畔離陸基地からの連携。山脈の手前に位置する不定形の水路と黒枠の一辺。記念撮影を行うならわしがある。アイボリー色の乾いた地面にアンテナの影までを投射する。対角の白黒が何十枚も並ぶ車輪の上の土台に乗せてここに来たと証拠。つまらない四輪車もいる。巨大空輸機が駆り出され左翼に下げられている。

列車がプラットホームに到着しているので半分も観覧していないが最終出口へと急ぐ。最終出口の縄梯子を使うと難なく第三番線ホームの中央箇所に登れるという情報を監視員から伝えられる。不気味な雰囲気を漂わせていたが実は親切な婦人だった。列車は既に動き出している。ガッッタ〜ン、ゴッドゥォ〜ン。飛び乗った最後尾の乳牛運搬車両で牛と一緒に眠るはめになった。藁束の上に横になりラジオをつけるとハゴンに襲われたシュクッチャウマナン地域の報道が流れていた。
posted by コマプ墨田 at 22:52| 断片小説

2007年12月13日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-cxs094

日没の演舞場

V字型全翼機を特撮映像だと偽り代わりに無版権プラモの説明図を本物らしく説明しての講義が終わる。看板は「べラドンナ逆様に飾られる時」と読める。縦長の枠の一番下を移動する灯りが見え、天井の巨大な円の中央に位置する照明を吊り下げるために規則的に張られたワイヤーによって投影される交差図形が消される。明け方を目指しプキンチャピラ峠に向かう。単純な法則と無関係にその円周内に一個だけ配置された電球一個であらゆる演目が照らされる。完成しない歌曲を持ち歩くためのテープデッキにひっかっかってフルハウスの内一枚が裏返ってしまっているのに気づかず勝負してまける。束ねられたグレイと湾曲したホワイトで電信と入力が成り立ち、せっかく注いでもらったアツカンがどんどん冷えていく申し訳なさをひしひしと感じる。運悪くも万全のピアノ曲が漏れる対面席に到着し難儀する。テクノロジー進化の果てにところかまわず歌う老人が珈琲一杯の注文で座る席を巡りごねまくっている。縮小化されいつでも鼻歌表現が可能となった驚くべき三重構造の室内で禁煙なのにタバコくさい。無意味に回転機能を逆にした輪転機に嫌気がさし分解して捨てる。そういえば立方体が流動化したガラスと縦折された千円札ほどの紙片に隠された計算式があった。おそらく水槽であり深海魚の銀細工が沈められている。傍らに角を落とした安全なケースにのっかって渡された三種類の鉄器。老人は去り行く時も何かくどくど言っている。ブースの向こうの窓の手前から見えなくなる。三種類の接着剤をどこかに置き忘たがために小型バラライカの製作が遅延する。残り少なくなった燃料メーターをみて計画を変更する。村落にたった一箇所あるという電話を借りることに成功する。

「おお西田か、一ヶ月も連絡なしでどうした。今どこだ。」
「すいません、どうも中国の奥の方に来ちゃってます。」
「・・・・(拳」
「下関で車両ごと間違って積まれちゃったんですわ。
金尽きましたんで送金たのんます。たまたまパスポート持って来てて命拾いですよ。」
「バカか。」
「いや、世紀のスクープいくつか撮ってますんで。」
posted by コマプ墨田 at 22:43| 断片小説

2007年12月11日

メタル柱亀裂および模造紙断片

http://revorida.2-d.jp/071211.htm
目尻に分厚く塗られたダイダイを拭い、メタル柱亀裂角度で想像する歌唱が記録されるところの模造紙断片。
posted by コマプ墨田 at 04:53| 断片小説

2007年12月10日

黒い垂直と発光流動

http://revorida.2-d.jp/071209.htm
垂直に黒塗りの壁の隙間に隠された切断機を抜き取り、流動する山脈の発光的光沢の白色の隙間と地面で三次元を保つ場所。人格的に対象であると思われる意思存在が肢体を持ち視角の傍らに現れる。
posted by コマプ墨田 at 00:44| 断片小説

2007年11月24日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-omr967

北上する泥流

ハシミカム街道第二伽藍の完全なる崩壊が起こる。見えない壁がピキピキと崩れその見えない破片に埋め尽くされた連携彫刻群が下方で押し重なり製作者の意図しない抽象変容を成す。人知と自然現象に相互支配された歴史文化があらゆる箇所で斜めに蓄積されている。そう言っても横断する連絡路が高度差数千キロをものともせず形成されてもいる。山脈が途中平たくなっている箇所に出来た生活文化の推移を手帳にスケッチする。南方の眠りの中から泥流が北上し凍結した湖面のような河川表面を目指して巨大化して行く。油断した海賊船が遥か北方で氷に挟まれている。数百年ごとの記録の蓄積から地域民はいくつかの非難領域に手際よく向かってる。やがて青く暗い泥流の塊が流動しながら生命であることを示す。

「生き物だろうか?」
「命と言ってもワシらには成すすべも無いのだからむしろ運命と言った方がよかろうぞ。」
村落の長老と思しき老婆が杖にしがみつきながら段々畑から振り向きざまに答える。既に山腹のかなりの高さまで泥流が登り次々に村落を飲み込んで行く。湾曲箇所に勢いは阻まれそこで力が垂直方向に立ち上がると運命と呼ばれたソレの具体が一瞬現れる。ギュワゥォーーゥォ〜。巨大な土石泥流を制御する機能を持つ合理的な皮膚構造が金属的に輝く。正円と正三角形。眼球は夕暮れのオレンジに調和して美しい。そしてまた直ぐ泥流に沈んだ。

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「メコンガーは必ず南から現れ北に向かうと言い伝えられておるが、まさか生きてる間に現れるとは思わんだったぞ。」「さあさ御老人、お急ぎくだされ。」ギュグワオヲ〜〜〜ン。「急いで、ナーガンダ山脈のてっ辺まで行けば大丈夫です。」ゴチっ、ガラガラ〜「うあ、しまった、うわ〜〜〜」ザップ〜〜ン・・・・・

「おお西田さん気がついたか。最上階は尖塔の揺れが大きいから酒飲んじゃいけないと中国語で書いてあるなぁ。」
posted by コマプ墨田 at 21:43| 断片小説

2007年10月28日

山河迷妄

湾曲の内側をどんどん進んだが途切れた河川をついに諦め、うろうろと北上し山脈と大河を越える方法を探すしかない。高度一万メーターまで引き返し地面を再び倒すと、ほぼまっすぐに抜けられる空間が確認されるが、途中で濁流に飲まれることに納得しとりあえず尖塔宿へと向かう。二割り増しで尖塔頂点の部屋をとるが先客と相部屋になる。透明な頂点部分に内側から頭を突っ込める優れた展望機能。酒を飲み交わしながら偏西風など助けにならぬであろうことを教わる。高度4千メートルと言っても平地がすでに2千メートルということも考慮するべきである、とか。火山地帯なので誰もが一度温泉で体を休め明日に備えたに違いない、とか。四方位にそれぞれ備え付けられた双眼鏡にコインを入れてかわるがわる覗く。急激に降りなくては成らない坂の途中の茶店、がけっぷちに棺おけ、一面の壁しか残っていない建築物のアーチ上の出入り口をくぐる商隊の亡霊、無理やり山肌にへばりつく高速道路が場違いに大手を振っている現状、などを瞬時に記録する。サンダルで峠を越えて張られた一本の綱を用い対岸へと渡る高度な技術が日常を支えている。大雨の後地形図のように山脈が彩られ、便所の出窓からよく確認すると250メーターごとに虹色のグラデーションが確認できた。

sound http://revorida.2-d.jp/071021.htm
posted by コマプ墨田 at 17:57| 断片小説

2007年10月22日

複数の貯水池が絡み合って奇跡的に可能となるところの断線

地図を拡大すると細かな道があり1ミリの幅にセンターラインを描く作業を依頼される。テキーラで酔いつぶれ20歳になったことなど忘却してゆっくりとそれも許される。否定してまた否定するのでデタラメほど強力になる。ローテクの記述方法に逆らって減税された。

「残虐さに気づかないように歌わされているようだ。」
「完成度が高まれば誰もが安心していられるのだろう。」
「表層の装置の内部だということの極端な実験を先端で行っている空洞地帯がある。」

絵の間に深夜の照明を挟んで 便宜を図るブドウ糖を舐めてみる。正解が出たのでつまらない番組になるのも本来は仕方が無いはずである。やがて電車が動き出して足止めされた北の国にいる雲の上の人が夜明け前のボーリング大会で親があきれきっているという話。断片処理で美貌という名の問題は鉄板が外れていた場合河に墜落する。霧の田園にジャコメッティに似る意味の無い現象。数百キロの山沿いの河を何日もかけて登っていくイメージで踊りなさいという垂れ幕がさがる。最終回が心残りで10年を過ごす。酒蔵の前のたけのこが朽ちている。幾人かはあなた様と貴様の違いに悩む。気丈な人物にいやですとしか言わない。サックスを吹くには肺活量がいるでしょうと警官に聞かれる。帰りは午前三時ですかと聞かれ飯を食ってから帰るかもしれないと答える。15年ぶりに防犯登録をして観光客が旅館に戻って百万発を確認される。談話することで積み立て百円貯金が未消化なまま撤回されたと聞く。週刊誌と漫画とテレビで教育されたので自由意見となるとどんどん粘着になる。

「覗き窓が全員に手渡されていよいよ自由の内側が問題だよ。」
「何一つ問題ではないことの自由が問題なのよ。」

年一回うなぎの体重を量るという儀礼にも方向が定まって湖畔のソナタは次回からにしようといいながら何回も同じ演技であることを誰も指摘しない。根拠を必要としないので感情は高ぶり橋の終わりでとうとう止められる。ストライブの紙ナプキンが皿の重さでしわしわになる。日本列島縦断を正確に行うには湾曲しすぎているといちゃもんがつく。しなやかに製作過程で次々に作り直す為に永久に終わらない退屈な創造が続く。ベラの構成「アと24」が狭い窓から覗いている。表面的に切り取って海に出るのがどうしても正確なことに不満が残る。国全体がデカイのでマンハッタン島は下北半島ぐらいだと思っていたことを恥じて反省の意味で全員モヒカン狩りになる。アニメの世界に近づくためにあなたも毛穴を埋めてみませんかという宣伝メールを連日受け取る。フリーズして12曲が無駄になる。優秀な券売機がぎりぎりの判断をするので二回に一回は通過してしまう百円玉はかなり磨り減っているのだと彼女が言う。飛行場から飛行場まで歩いて移動する。ぬかるみを抜けて国境を見て帰る。
posted by コマプ墨田 at 06:32| 断片小説

2007年10月21日

列島電波紀行

考える以上に速い速度。問題なく進行しても終了を避けるという超法規的判断。変更できない儀式を指摘する透明の手紙が見えないまま燃える。腐りかけでもまだ食えると信じるために飾られている。電車内で特定のアイポットに勝手な楽曲を電波送信する装置の開発。ミトコンドリア、紫の獅子、勧進帳の断片、など。データが追いつかず他の天体しか映らないので仕事が停滞する。牛乳に茹小豆を混ぜて飲む。音楽がかからない飲食店を探して二駅ほど歩く。これはいいと思ったら単に装置の故障であるという。報道が二転三転して結局悪者にされる。結論次第で脚色を選択できる上に誰もが従うので問題が起こらない。無駄な談合でもやらないと話が始まらない。最もいい加減で独断的な者を電波と言うことが全てを象徴している。病に逆らうことが難しいという大きな病に気づかないので幸せが浮遊的に拡大する。海の向こうから眺めたつもりで自分を除外したい思いで地球儀を強引に縦に回転させる。無茶な規則で停滞することを知りながらそのままやる。いくつかの箇所で切り取り無造作に繋ぐと新しくなる。悪いやつが決まったのであとは楽勝だと丘の上から眺める謎の一団。話が終わって常にそこからしか始められないという不断の習性。赤を塗り替えて黄色になるが3原色しかないので3回目でまた赤になる。
posted by コマプ墨田 at 21:34| 断片小説

2007年10月15日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-djz418

居酒屋 アラハバキ

番線を選んで束ねる。数十年も棚上げされた料金表の偽りで年寄りが途方にくれている。毎回結論のためにだけ演奏するので聴く前から苦痛が予想される楽団。全て自分以外であることで安心できる病を前提とする国家体制により萎びていく芸術運動のループ機能がほぼ完成しつつある。窓辺に席を取り四季を見つめながら卒業した思い出。四段組のエイリアン。銭湯のある渡し舟。地下に集って人形の売り買いが行われ、やがて最後の一体がベースギターの振動で巨大化する。気まぐれによって分離する。飛行形態が無茶なのでデザインが変更になった。行こうと思う方向には曲がらないハンドルの実用化策とか。サボっている方が収穫が多いという農場の現実がラジオで語られ感動。窓辺にはベンガル湾。片手でハンドミラー。正常に作動しない分光器数百台が箱詰めされて出荷待ち状態。小銭でどうしても払いたいのでカバンをひっくり返してあと二円を見つけたい思い。そんなことばかり思ってLPの棚を見つめる。
「めくるめく 晩秋にサクラ 猪鹿蝶 字余り。」
「あら西田さん飲みすぎよ。」

sound http://revorida.2-d.jp/071015.htm
posted by コマプ墨田 at 02:40| 断片小説

2007年10月10日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-dez771

取材

石粉にまみれた断片。切り崩された三角形の頂点が共有されて立体的な空洞を形成する。積層を確認しながら時代を逆に積んでいく作業。巻貝は非常に珍しく、それ以外のほとんどは原型をとどめない真っ白な欠片であり繋ぎ合わせても一個に戻る可能性はない。丘のふもとの海抜まで頂上を掘り下げるために数年を費やしたことが光景から推測される。

「いくら掘り下げても貝殻ばかり出てくるようだね。ここいら昔は海の底だったのか?」

黙々と与えられた仕事を遂行する作業員の傍らをリヤカーを引く年寄りが行く。キセルの柄が長すぎて重さで唇がゆがんでいる。夏場が終わるので伸びきった藪を刈る集団がいる。

「はっはっは、貝塚を崩してしまったもんでこの山にもう霊力はないさぇ。ただの畑となっておりますよ。」

そういえば到着からの夜毎の砂嵐が気になる。空中で合体する回転技と数種類のパズルを分離して個別に完成させる競技の解説が終わり、スイッチを切ったつもりが不愉快な共同謀議の言い訳をやる特番が始まり朝方まで見てしまう。水平に置かない限り飲むことが出来ない構造の酒瓶に難儀する。天井を見上げると蛇のような木目が並んでいて頭はどっちかと考える。思い出して水色の双眼鏡を透明の袋にしまう。

「西田、政府の地球防衛二次戦略とやらはガセだった。そこは役所がらみの民間開発だ。大したネタもない。」
「見たとこどうもそんな風です。」
「すぐ帰って来い。あとな、領収書取ってない分は自腹だ。」
「部長、勘弁ですよ。」

sound http://revorida.2-d.jp/071010.htm
posted by コマプ墨田 at 22:36| 断片小説

2007年10月08日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-moi648

ザンバンダンガ放水装置が近所にあって走行する邦人の原付を転がす。陶器の割れる音。先端が曲がっている。くちなしの花を先生が笑う。行動力のない伝達舞団による変則的な嵐。ミンセンコンタクトランラダマンジョリカと聞こえる。長年の期待数値が示される奇談。網状良好近状と落書きされる。湖底を移動する薔薇色の甲羅、鉄塔のゆがんだガラス窓、尽きることなく供給されるりんご畑がセピア色に記録される。百年前のボロキレ。意外とおかしい創造するだけの微細発光の水中移動を見つめる。満遍なく苔むす岸壁の真下に至る。予期せず理論的に正解になる。道半ばで電卓を開き走行して明け方を待つ。長い鉄橋を超えると軽快に汽笛が鳴った。「しまった二駅以上乗り過ごしてるぞ。」
sound http://revorida.2-d.jp/071007.htm

posted by コマプ墨田 at 03:07| 断片小説

2007年10月05日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-wso021

東京湾防衛作戦

星空を記憶する装置。晩段貝殻の過剰繁殖地帯。目覚しい進展を成す軽量飛行装置の実験場。打ち寄せる失敗機の残骸を回収する仕事。午前三時の集合を告げる鐘が鳴る。円柱が乱立する箇所に白い一団が駆け寄って行く。夜明けの農園を抜ける。妄想だけが繰り返され進展しない徹夜の議論が行われる職務室。報道規制が解かれ誰もが本音を書き始める。斜めに切ってある連絡用暗号盤が無駄になる。側溝から伸びる怪奇植物が腰の丈に成ったことを記念する婦人たちの会合の横を通過して何度か道を曲がる。坂を降りると登りになる。寺院の裏手が校門であり小学生を安全に通過させるための黄色い旗でやがて交通が遮断されるだろう。明け方の三味線が耳障りだといううわさがある。雪が降った日のために安物のソリを買っておく。塀の上に黒猫。ガラス戸は閉められているので裏の社員口から入り特別にきのこ天丼を注文する。

「西田さんにはまいっちゃうな、まだ仕込み前ですよ。」
「ごめんね、面倒な資料漁ってたら、明け方腹減っちゃってさ。」
「ラジオ体操第二ぃ〜、チャンタッタ、タララララ・・」
「まだ7時前なのか。」
「チャンタッタ、タラリララ、両手を前に出して体を後そらしぃ〜・・」
「はいよ天丼一丁。」
「朝の体操の時間ですが重大ニュースが入りましたので報道部から・・」
「東京港沖合いに宇宙怪獣出現、政府地球防衛隊が応戦中・・・。」
「またかー。」
「最初の映像が入りました。」
ビュゥ〜ゥ〜ン、チュゲリャリャン、ビュ〜ヒィ〜ン〜。
「うわっかっこわりい、どう見てもガマガエル。」
ビュィ〜〜〜ッ、ビガガァ〜ン。怪獣の眼から発射される360度回転ビームが夜明けの海面を虹色に輝かせる。
「見たところまだ湾のかなり奥みたいだ。
報道のヘリから撮ってるんだろうか。」
「江ノ島防衛基地からシードリル1号が発進したとの情報が・・」
ザップォ〜ン。「あ出た出た、近場なのにわざわざ潜ってきたんだ。」
「回転ビーム反射作戦開始ぃ。」
ビュゥ〜ン、ビュパ〜、ピカツ、パッチャ。
「わ、当たった。」
ドッゴ、ゴッガガガガン、ドッカ〜〜ン。
「西田さんガマのやつ派手に出たわりに簡単にやられちまったよ。
大事無くてよかったけど。」
「け、宇宙怪獣がガマの格好な分けないぜぃ、ありゃぁやらせだ。」
「?」

tu-rw1.gif

「お昼のニュースです。本日明け方東京湾に・・・・。
それでは官房長官の談話を・・・。」
「宇宙侵略ロボットの虹色ビーム攻撃に苦戦するも江ノ島地球防衛隊の決死の作戦により東京上陸は食い止められました。今後政府の防衛体制はさらに・・・」
「税金無駄に使いやがってバカヤロー。」
posted by コマプ墨田 at 21:39| 断片小説

2007年09月19日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-kyt561

電話

果てしなく続く海岸沿いの薔薇園をシオカラトンボが海に向かって飛び風に押し戻される。丁度半分だけ曇ったあたりに夕日が沈む。漁船団が遠のく。紅茶をこぼした後がそのままになって数年経った痕跡を見つける。ジリィ〜ン、ガチャっ。

「なになに?ほぉ、そんなものがありましたか。なに?田島と?」
「はい。」
「田、島・・・。当時カササギの視察でワシの研究室に一度だけ学者が来たが、確かそれも田島じゃったなぁ。」

電話ボックスの扉が閉まらないので放置する。
気配に振り向くと逆さまに飛ぶ蝶がある。
posted by コマプ墨田 at 17:36| 断片小説

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-ore317

古代研究

「おそらくは滝野川の父親の研究がもとになっとるのだろう。
滝野川光蔵と言って、この人も大変な歴史学者だった。
重史郎が幼い頃と思うが、
とうとう大学からも学会からも追われしまっての。」
「学会?」
「あまりにとりとめもない説を強行に主張したでなぁ。」
「二万年前の発掘品の?」
「それはごく一部じゃろ。様々な宗教文献の論理を比較し詰めれば、さらに古代の大元の論理が導けるという風な説じゃった。
最後の氷河期までに南方からシベリアまで統一された一大モンゴロイド文化圏が形成されており、その政治理念までも語っておっては、当然軍部から眼をつけられてもおったじゃろう。」
「詳しい資料は残されてないのですか?」
「そんな状況で出版など無理だったんじゃなかろうか?
東都大に研究室を持っていたほんの一時期の弟子に事情を聞くぐらいしか手は無かろうが、はたしてそれも探せるかどうか難しい。」

割れていた二箇所のガラスが修繕されている。
早朝のラジオ体操から帰宅する途中豆腐屋に立ち寄る父と子。
逆さまになった蟹の甲羅に白詰草が生長している。
「東京に戻ったら本郷に行ってみます。」

明け方上野駅に到着する夜行列車。
無言でホームを歩くまばらな乗客。
西郷隆盛像の下で折りたたみ自転車を起こし湯島方面へ向かう西田。

「朝っぱらからすいません。」
「いえいえ、どうせ昨日から泊まりの実験で今から寝るところですから、
ガハハハ。」
小さな展望台を持つ講堂の裏手に連れて行かれる。
錆び付いた重い鉄の扉。ギゴォ〜〜。
「うわ、こりぁカビくさいですな。」
「私も始めて中入りました。」 「恐れ入ります。」
「どの研究室も管理していない戦前の資料となると、残ってるとすればここしかないでしょう。」

昼をまわると薄暗い部屋の一箇所に日差しが入り込む。その箇所に眼を向けるとホコリまみれの木箱がある。

「滝野川光蔵先生の御研究 滝野川研究室助手 田島和夫」

空けてみると手書きガリ版刷りの書籍がびっしり入っている。
パンパンパ〜ン、「ゴホホォ。」
posted by コマプ墨田 at 16:45| 断片小説

2007年09月17日

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-enb408

博物館

意外と無造作に置かれた西洋の芸術品。
こんなガラスで出来た飛行体が本当にあるなら、上手く寝そべれば空中浮遊をしている感覚が得れまいかとふと思う。

「西田さん、私はこの場所が好きでしてね。学生と一緒によくきました。」
カツゥ〜ン、カツゥ〜ン、キィィ〜ィッ。

「先生、政府の戦略をご存じないのですか?」
「はは、いろいろと考えるものです。確かに我々もいくつかは論法を変えないとならないでしょう。」
「黒月やバラガンぐらいの戦力では、たとえ一時的な成果を上げたとしても、政府はむしろそれを情報操作の材料にしますよ。
痛手を受けるのは一般市民だけだ。」
「我々は攻撃に際して国民の犠牲を最小限にする努力をしている。バラガンが最終的に自己崩壊した理由が分かりませんか。
黒月の作動速度は限界の十数分の一程度に落としてあった。そして、私はあなたにこうして国民にとって必要な情報を全てお伝えしている。」
「では、カササギはこれまでの戦力以上の力を持つと?」
「一も十も現作戦では大した変わりは無いのです。」

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「西田さん、この博物館の収蔵品にはいくつか説明が間違ったものが御座いましてね。」
長く暗い廊下の突き当たりに第十六室というプレートが下がる。
暗いガラスケースの内側に崩れかかった土器群が並んでいる。
「これらは前期縄文時代に含まれるものですね。」
「一万年以上間違っているのです。いくつかはツドラに関わる遺品です。
体系に含めることが困難な事柄を論理から排除することで歴史が定点観測的に完結させられる。これもそうした悪しき例のひとつでしょう。」
「ツドラ?」

カタ〜ン、カタ〜ン、カタ〜ン、
「西田さん、またいくつかお話出来る時が来たらこちらから連絡させて頂きます。」
バタン、ブォロロ〜
posted by コマプ墨田 at 15:40| 断片小説

断片小説「極東冷凍怪獣ツドラ」場面q-tgp975

図面

大きな二つの河川を隔てる陸地を行く。ネオン管で飾られた怪しげな船舶。
暗闇にキリンのような煙突が伸びる。東京湾に出る一つ前の橋をチャリを担いで登る。

「あ先輩、早いですね。」「西田、久しぶりだな。ハハハ。」
橋を渡り河沿いに臨海工場地帯を行く。ガンガンゴー、ガンガンゴー。
「湾岸酒場廃船」とかろうじて読める看板が見える。

「へいらしゃぃ。おお原田か、そちらは?」
「原田さんの大学時代の後輩で西田と申します。」
「マスターは高校の柔道部の先輩でな。」
「下北でしたっけ?」「そうです。」
「奥空いてますね。ちょっと借ります。」
「何だ?込み入った話でもあるのかい?」
アザミが無造作に差し込まれた金魚鉢。
着水に失敗した小型機が窓の向こうで半分河に沈んでいる。

「実はな西田、話というのはこれのことだ。」
「なんすか。分厚いっすね。ありぁ細かくびっしり描いてある。なんかの図面ですか?これ。」
「そうだ。」「何の?」
「政府の役人が研究室に持ってきたものを全部俺が写した。」
「政府?」
「例の黒いロボットの図面だよ。」
「え、まさか。」
「政府も最初は極秘扱いじゃなかったんだ。当初それほどの危機意識は無かったようだ。今は口止めされているがな。」
「いいんすか、そんなもん俺なんかに見せちゃって。」
「いや、お前に調べて貰いたいんだよ。」「調べる?」
「この構造は奇妙だ。いくつか今の物理の重要な基礎になってるものがある。とても宇宙から来た装置とは思えないんだが、俺の技量ではそこどまりなんだよ。」
「調べろと言われてもですね。」
「かつて政府直属の特任研究所の物理部門を任されていた春日井博士という方がまだご存命だ。あの人しかこの構造の全てを理解出来る人物は思い当たらない。」
「今はどちらに?」
「ご実家は新潟らしいんだがなぁ。西田、ちょっと動いてみてくれないか?」

裏窓の直ぐ向こうをネオン船がゆっくりと通過して室内が虹色に輝く。
バンダザラガ地方を描いた縦長の油絵に眼がいく。
「娘も高三だよ、はは。」
posted by コマプ墨田 at 03:28| 断片小説